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星河の覇皇

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第七十二部第四章 気付きだした者達その十二

「非常にですね」
「はい、どうやら相当な傑物です」
「二十代で政府の代表になるとは」
「しかも選挙で勝っていった」
「そうした人物なので」
「かなりの人物ですね」
「これからマウリアの台風の目となりますな」
 こう口々に言うのだった、そしてその中からだった。
 伊東は真剣な顔でだ、他国の首脳達に言った。
「私の予想ですが」
「はい、伊東首相の」
「あの御仁はマウリア主席になりますが」
 表の政府のそれにというのだ。
「しかしそれで終わりではなりません」
「さらに上を求めていますか」
「それ以上のものを」
「国家主席の座だけでなく」
「それ以上のものを」
「ヒトラーの様な」
 あえてだ、伊東はこの人物の名前を出した。
「そうした野心家でしょう」
「ヒトラーは総統になりましたな」
 グリーニスキーは先程とは違い目を鋭くさせて述べた。
「大統領と首相を兼ねた」
「はい、そして」
「彼は権力だけが目的ではなかった」
「むしろ通過点でしたね」
 国家のトップに立つ、ヒトラーの最終目標はそこまでではなかった。むしろそれははじまりであったのだ。
「ゲルマン民族の生存圏の確立」
「即ち第三帝国を建国することをです」
「ヒトラーは考えていました」
「そしてですな」 
 グリーニスキーはまた言った。
「あの御仁もまた」
「おそらくですが」
「国家主席に留まらず」
「マウリアをです」
「彼の望む国にしたい」
「そう考えていますね」
「例えは悪いですがヒトラーの様に」
 人類史上稀に見る野心家と言われた彼の様なというのだ。
「権力で満足せずに」
「それ以上のものを求めている」
「そうなのでしょう」
 こう話した。
「おそらくですが」
「それだけにですね」
「我々にとってどう動くか」
「それが問題ですね」
「はい、連合をもです」
 ジャバルが自分の思う様にかなり強い野心を持っているのならというのだ。
「利用しようとするでしょう」
「そして利用するだけの、ですね」
 王が伊東に問うた。
「資質がある」
「はい、その場合はです」
「利用されるか」
「それが問題でしょう」
「利用されることは好きではありません」
 王はここでこう言った。
「私は」
「王大統領はですか」
「はい、我が国としましても」
 シンガポールの立ち場もだ、王はその国の大統領として話した。
「それは望みません」
「絶対にですね」
「利用される位なら逆にです」
「利用する」
「そうしたいものです」
 こう言うのだった。
「何としても」
「はい、ですが」
 伊東はその王にさらに話した。 
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