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星河の覇皇

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第七十二部第四章 気付きだした者達その十

「だから気をつけてね」
「わかりました」
「そういうことでね」
「そしてね」
 さらに言うのだった。
「今の日本はね」
「その百年の苦労があり」
「今も健全な野党があるわ」
「我々も野党になっていましたし」
「そうだったわね、十年前は」
「政権交代が無事に出来ることは」
「それだけでも大きいわ」
 伊東ははっきりと言った。
「健全な政党が二つあるとね」
「国家にとって益ですね」
「連合は改革派と保守派ね」
「地域政党も多いですね」
 それぞれの星や星系、そして国家単位の政党も多くある。日本にしてもそうした星系は実に多かったりする。
「中にはおかしな政党もありますが」
「おおむねね」
「健全ですね」
「有り難いことにね」
「健全な政党は市民が育てるといいますが」
「何とかね」
 今の連合はというのだ。
「それが出来ているわね」
「はい、本当に」
「だから貴女もね」
「正面から受けています」
 小柳は武士の様な笑みで伊東に応えた。
「ですから今から」
「国会の審議にね」
「備えておきます」
 こう言ってだ、伊東の前から去った。そのうえで彼女の場所に戻ってだ。仕事に向かうのだった。そしてだった。
 伊東は自分の手元のボタンを押した、するとだった。
 殺風景な執務室から保養所の様な場所になった、映像でそうなっているが湖のほとりにある屋外の円卓だった。
 その円卓に座ってだ、伊東は居並ぶ太平洋諸国の首脳達に挨拶をした。
「皆さんお久し振りですね」
「ははは、そうですね」
「久方振りの会議ですね」
 マックリーフと李が言ってきた。
「太平洋諸国の会談は」
「暫く行っていませんでした」
「ですからこうして一同に会するとなると」
「確かに久し振りですね」
「そうですね、皆さんお元気そうで何よりです」
 伊東はにこやかな笑みで社交辞令を述べた。
「お話は聞いていましたが」
「この通りです」
 グリーニスキーも言ってきた。
「至ってです」
「健康ですか」
「むしろ食欲があり過ぎて困っています」
 グリーニスキーは笑ってこうしたジョークを飛ばした。
「何につけても」
「食欲がですか」
「今朝はボルシチを三杯食べました」
「朝からですか」
「はい、黒パンにサラダに」
 ロシアのサラダだ、この国のサラダは独特でマヨネーズをふんだんに使った非常に濃いものであるのだ。
「ボルシチをです」
「三杯ですか」
「それにオレンジを食べました」
「デザートにですか」
「朝から食欲がありまして」
 起き抜け、しかも激務で夜遅くまで仕事をしていてもというのだ。 
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