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星河の覇皇

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第七十二部第四章 気付きだした者達その九

「そうした愚行を見るよりはね」
「建設的な批判は有り難いですね」
「与党を作ることは難しいわ」 
 伊東は政党のことにも言及した。
「けれどそれ以上にね」
「政権担当能力がある野党を作ることは」
「難しいわ」
 そうだというのだ。
「さらにね」
「そうですね」
「日本は野党を作ることに苦労してきたわ」
「第二次世界大戦から百年程」
「まともな野党は出来なかったわ」
「碌でもない野党ばかりでしたね」
 腐敗した労働組合やマスコミに支持されていて自浄能力はおろか一切の努力を放棄した政党ばかりだった。
「社会党といい民主党といい」
「民進党といった時期もあったわね」
「名前は違いますが」
「ルーツは同じでね」
「その主張も行動も」
「全く変わっていなかったわ」
 冷戦時代からソ連の崩壊から二十年以上経てもだ、恐ろしいことに彼等の主張は全く変わらなかったのだ。
「徴兵制反対とか言っていたわ」
「当時、今もですが徴兵制は」
「メリットがないわ」
「そうですね」
「プロフェッショナルの軍人が必要なのよ」
 二十世紀後半以降の軍隊はだ。
「徴兵制で義務で二年か三年いてもらうより」
「志願した人が何年もいてくれる」
「その方がね」
「遥かにいいですね」
「そのことはとっくにわかっていたけれど」
「当時の野党の主張は変わらなかった」
「長年に渡って」
 幾ら時代が変わろうともだ。
「彼等が何も勉強していなかったことの証左よ」
「そのことは」
「まさにね」
「何の勉強もしない政党は存在価値がありませんね」
「学者でもそうよ」
 伊東は自身のかつての職業からも話した。
「やっぱりね」
「何といってもですね」
「論文を書くものよ」
「論文を書け、さもなくば滅びよ」
 小柳はこの言葉をここで出した。
「そうですね」
「政治家も同じよ」
「学ぶことですね」
「何の努力も勉強もしないでいてられるのは」
 それこそというのだ。
「どの世界にもないわ」
「政治家の世界も然りですね」
「だから社会党的なものは残ったけれど」
 冷戦後もだ、組合やマスコミの支持がありだ。
「やがて滅んだのよ」
「そうなりましたね」
「ええ、けれど百年の間ね」
「日本はそうした野党ばかりで」
「健全な野党が出来なかったわ」
「健全な野党を作ることはそれだけ難しいのですね」
「そうよ、健全な与党を作ることも難しいけれど」
 しかしというのだ。
「健全な野党は遥かにね」
「作ることが難しいですね」
どうにもね」
 実際にというのだ。
「そうなのよ」
「それが現実ですね」
「そうよ」
 まさにというのだ。 
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