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星河の覇皇

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第七十二部第四章 気付きだした者達その八

「マウリアについての文献も少ないですし」
「そう、同盟国であってもね」
「あの国を見ることは」
「見る人は少なくて」
「そうして」
「動きもよ」
「察知出来なかったということですね」
 小柳はまた話した。
「そうなりますね」
「ええ、そうよ」
「文字通りに」
「まさにね」
「しかしこれからはですね」
「あらためてね」
 迂闊だったのは過去のことだ、しかしこれからはというのだ。
「人を見出して」
「マウリアに詳しい方を」
「マウリアに送ってそうして」
「対していきますか」
「若し日本を利用するつもりなら」
「その場合は」
「国益になるのなら利用されてあげるわ」
 その場合はというのだ。
「けれどそれが国益を損ねるのなら」
「乗らないわ」
 こう小柳に述べた。
「絶対にね」
「その為にも」
「彼のことは調べていくわ、国を誤らない為に」
「日本の首相として」
「絶対にね」
「それでは」
「ええ、今から会議に赴くわ」
 太平洋諸国首脳会議、それにというのだ。
「これからね」
「それでは私はこれで」
「そちらの省に戻るのね」
「そして次の国会審議の用意をしておきます」
「貴女は最近野党から色々言われているわね」
「私の政策について」
「あれこれとね」
 批判があるのだ、野党側から。
「建設的なものだけれど」
「建設的な批判ならいいですね」
「そこからさらにいい政策が出るから」
「これが言いがかりや揚げ足取りだとです」
「何の意味もないわ」
「そこからは何も生まれないですね」
 小柳もこう言う、民主政治の欠点の一つとして野党側が何でも反対といった論理で政策を批判するものがある。それが言いがかりでも揚げ足取りでもだ。
「それこそ」
「そう、例えば予算委員会でよ」
「団扇の話を出したりクイズをしたり」
「そうした馬鹿なことをした政党もあったわ」
「二十一世紀のことでしたね」
「チャーチルが言った通りにね」
 イギリスのあまりにも有名な政治家だ、とかく毒舌であったがそれと共に絶妙の見識と視野そしてユーモアがあった人物だ。
「民主政治程愚かな制度もないわ」
「これ以上の制度もないですが」
「愚かでもあるわ」
「だからですね」
「そう、そうしたことも起こるのよ」
「言いがかりに揚げ足取りに」
 小柳も言う。
「他にも」
「団扇の話なりクイズなりね」
「漢字やカップラーメンの値段等を」
「そうしたことを国会で言う政治家はね」
「愚の骨頂ですね」
「まさにこれ以上愚かなものはない、よ」
 チャーチルの言葉通りにというのだ。
「それを具現化したものよ」
「民主政治は愚かなものも出ますね」
「何かとね」
「そうですね」
「そう、だからね」 
 それでというのだ。 
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