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星河の覇皇

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第七十二部第四章 気付きだした者達その六

「送りたいわね」
「誰かがいれば」
「迂闊だったわ」
 伊東は用意周到を自覚している彼女にしては珍しくこうしたことを言った。
「マウリアのことについてはね」
「二の次だったと」
「正直関心はあっても」
「力はですか」
「注いでこなかったわ」
 外交のそれをというのだ。
「これまでね」
「それは」
「連合のどの国もというのね」
「はい、そう思いますが」
「つまり連合の全ての国がね」
 日本も含めてというのだ。
「そうだったのよ」
「迂闊だったというのですね」
「そうよ、まさか急に動くとは」
「アウトカースト層への人口統計を行い」
「再び社会に取り込むなんてね」
 それこそというのだ。
「思いも寄らなかった、クリシュナータ主席がそこまでして」
「アウトカースト層も動いて」
「ジャバル主席の様な人物がいるとはね」
「そこまでですか」
「知りも知らなかったし」 
 それにというのだ。
「想像もね」
「連合のどの国もですか」
「思っていなかった筈よ。中央政府も」 
 時として各国政府、日本も含めた自国内の政府と対立もするこの政府もというのだ。
「そうだったのではないかしら」
「マウリアへ情報収集を行っていても」
「結果として表だけだったわ」
 それはというのだ。
「裏、アウトカースト層のことはね」
「知らなく」
「こうした動きになるとは」
 到底とだ、伊東は小柳に話した。
「考えていなかった筈よ、そしてそのことが」
「総理としてはですか」
「迂闊だったわ」
 こう小柳に言うのだった。
「マウリアは凄い国になるかも知れないわ」
「そのジャバル主席の手で」
「調べれば調べる程見事な人物の様だしね」
「政治家として」
「カリスマ性もあるわね」
「二十代で国家元首というのは」
「民主政治においてね」
 そうしたことはとだ、伊東は小柳にさらに話した。
「滅多にないことね」
「はい、確かに」
「歴史において」
「君主制においては多いわ」
「時として赤子であっても」
「生後六ヶ月で女王になった例もあるわ」
 スコットランドの女王メアリー=スチュワートだ、後に断頭台の露と消えたことでつとに有名な美貌の女王だ。
「五歳の国王もあったわ」
「ルイ十四世ですね」
「そう、長い間君主の最長在位期間を持っていた」
 この時代ではそれを塗り替える在位記録を持った君主も出ている、だから伊東はルイ十四性の在位記録を過去形としたのだ。
「あの太陽王よ」
「五歳で王となり」
「七十九歳まで王であったわ」
「父のルイ十三世の崩御からでしたね」 
 その時ルイ十四世はまだ五歳であり太子であったことから王となったのだ。 
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