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星河の覇皇

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第七十二部第四章 気付きだした者達その四

「そうだったわ」
「そうした時代でしたね」
「今はどんな人でも携わっているけれど」
「どうしても必用なお仕事ですし」
「一定した収益があるわね」
「排泄物や廃棄物は絶対に出ます」
 人類が生活していればだ、小柳も言う。
「それが出ないことは絶対にです」
「ないわね」
「ですからそうした産業も存在して」
「仕事にも就いているわね」
「はい、しかしですね」
「それがね」
「当時の日本ではですね」
 小柳は伊東に問うた。
「長い間」
「被差別階級のものだったのよ」
「その穢れも」
「そう、そしてね」
「死の穢れですね」
「これの方が大きいわね」
「汚物等の穢れよりも」 
 小柳はまた伊東に問うた。
「神道においては」
「仏教でも見られるけれど」
「それは日本の仏教ですね」
「日本の仏教は神道と混ざり合っているわ」
 習合しているのだ、だから神は佛の化身であるという本地垂迹説が出たり社の中に寺があったりするのだ。この時代でも普通にあるものだ。逆の寺の中に神社がある場合もだ。
「だからね」
「神道の穢れ思想がですね」
「仏教にも入ってよ」
 それでというのだ。
「出ているのよ」
「そうなのですね」
「そしてその穢れの中でも」
 特にとだ、伊東は小柳に話した。
「死の穢れはね」
「大きいのですね」
「古事記や日本書紀でもあるわね」 
 所謂神話である、こうした書は神話の書であるが日本では歴史にもつながる。皇室が天照大神の子孫であられるからだ。
「伊邪那岐、伊佐波の命ね」
「冥界に行く時の話ですね」
「そう、あそこで両柱の神々は決別したわね」
「そしてその後で」
「伊邪那岐の命は禊をするわね」
「海水で自身の身体を洗い」
 この場面は非常に重要でありここから多くの神々も生まれている。
「そうしていましたね」
「冥界に行った穢れを清める為にね」
「他の国の神話ではないですね」
「ええ、天照大神や素戔嗚尊も生まれた場面だけれど」
 月読命を入れて三貴神とされている、日本神話の中でもとりわけ重要な神々のうちの一つである。
「あそこはね」
「日本の神話独特ですね」
「冥界、死の世界に行ったことを穢れとする」
「独自の思想ですね」
「死は穢れなのよ」
「神道においては」
「そしてそれに携わっていたから」
 まさにだったのだ。
「被差別階級は穢れとされていたのよ」
「穢れが多い、ですね」
「即ち穢多とされていたのよ」
「汚物の穢れより死の穢れですね」
「そう、死の穢れの思想は残っているけれど」
「偏見はなくなった」
「それが今の神道であり日本よ」
 そうなるというのだ。 
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