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星河の覇皇

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第七十二部第四章 気付きだした者達その三

「イスラエルとは別にね」
「連合の外から」
「そうしてもきたから」
 だからだというのだ、伊東は話していった。
「注意が必要よ、マウリアという国家自体がで」
「ジャバル主席も」
「より情報を集めていきたいわ」
 是非にというのだった。
「今以上にね。そして」
「情報を集めて」
「利用されないだけのものを備えるべきね」
「そうなりますか」
「ええ、ただ」
「ただとは」
「ジャバル主席のお顔を見たけれど」
 もっと言えばその容姿全体をだ、顔だけでなくだ。
「端整で気品があるわね」
「はい、確かに」
 小柳も彼の顔を見たことはあるので頷くことが出来た、写真や映像であるがだ。
「そう言っていいですね」
「そうね、ただ」
「あの方はアウトカースト層ですね」
「アウトカースト層というとね」
「汚い仕事をしていると」
「そう思われているけれど」
 連合でもそうした認識だった、少なくとも晴れやかな存在であるとは認識されていない。
「それはね」
「違う様ですね」
「そうね」
 こう言うのだった。
「どうやら」
「それは偏見の様ですね」
「ええ、ああした人もいるのね」
「気品のある」
「マハラジャや高位のバラモン階級にある様な」
「品性も持っている」
「そうした人もいるということね」
「そうですね」
 小柳も伊東のその指摘に頷いた。
「我々はアウトカースト層について殆ど知りませんでした」
「どうした社会構造かも」
「知らなかったです」
「まさに何もね」
「はい、ですが」
「ああした人もいて」
「そのことも頭に入れて」
 そしてというのだ。
「見ていくべきね」
「全くですね」
「そう思ったわ」
「穢れ、ですね」
 小柳もこの言葉を出した。
「アウトカースト層は」
「神道には今もあるわね」
「信仰として」
「被差別部落への偏見はなくなったわ」
 それはだ、この時代ではだ。
「あれは屠殺業を営んでいることが大きかったわ」
「家畜のですね」
「そう、だから被差別部落ではそうした産業があったわ」
 屠殺業から派生する精肉や革細工のそれだ、かつての日本では被差別部落の地域にそうした産業の店や工場等があったのだ。
「あくまで過去はね」
「歴史に書かれていますね」
「穢多という字でもわかるわね」
 その被差別階級、所謂部落民を指す。非人も被差別階級であるが穢多とはまた意味合いや立ち場が違っていたのだ。
「穢れが多い」
「どうした穢れか」
「穢れといっても様々ね」
「はい、汚物やゴミの汚れもありますね」
「そういったものの処理も確かにね」
「被差別階級の世界の仕事でしたね」
「おおむねね」
 ゴミ回収業もそうだったと言われている。 
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