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星河の覇皇

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第七十二部第四章 気付きだした者達その二

「間違いなくね」
「だからですね」
「注意が必要よ。若しも連合を巻き込んでそうするつもりなら」
 マウリアを強大な国にするならというのだ。
「注意が必要よ。もっともそれが中央政府や他国の政府なら」
「問題はないですか」
「またアメリカや中国が動き出したわ」
「貿易で」
「暫く珍しく大人しかったけれど」
 アメリカや中国にしてはというのだ。
「けれどね」
「またですね」
「動きだしたわ、だからね」
「アメリカや中国を巻き込むのなら」
「止めないわ」
 ジャバルが目指すマウリアの動きがというのだ。
「今の話ではなく」
「長期的にですね」
「ええ、あの両国は動くと止まらないわね」
「何かと」
「行動力に満ちているわ」
 このことは歴史的にだ、だからこそどちらの国もこの時代でも大国であるのだ。行動力があり常に発展してきたからこそだ。
「だからね」
「ジャバル主席が巻き込んでくれるのなら」
「いいわ」
 それならそれでというのだ。
「中央政府でもね」
「いいですね」
「日本は基本的に中央政府寄りだけれど」
「伝統的に」
「ええ、けれどね」
「それは信仰ではありません」
 小柳は言い切った。
「間違っても」
「ええ、その通りよ」
「国益が合っているので」
「中央政府に添う方がね」
「ですから」
「基本的に中央政府寄りにしても」
 時として中央政府第一の僕と呼ばれるまでに中央政府寄りと言われているがだ、それでもだというのだ。
「国益に添ってるだけよ」
「中央政府の益が我が国の国益に添っていないなら」
「対するわ」
「その通りですね」
「そして近頃中央政府は」
「力を大きく伸ばしています」
 中央政府軍が出来て余計にだ、連合全体の国防を完全に担う様になりその力がさらに強まったのである。
「ですから」
「そう、是非ね」
「抑えたいところですね」
「けれどそれがね」
「マウリアがしてくれるのなら」
「いいわ」
 だからだというのだ。
「マウリア政府が中央政府を利用するのなら」
「そしてそれが中央政府を弱めるものなら」
「何もしないわ」
「そうされますか」
「我が国は利用されない」
 伊東は言った。
「長い目で見て日本に害を及ぼさないのなら」
「見ているだけですか」
「そうしていくべきと考えているわ」
「わかりました」
「マウリアはバランサーとして」
「はい、これまでもですね」
「何かと動いてきてね」
 そしてとだ、伊東は小柳にさらに話した。
「利用してきたわね」
「連合とエウロパを」
「そうしてきたわ、そして時としては」
「連合内についても」
「バランサーになってきたわ」
 陰ながらだ、そうしてきたこともあったのだ。この千年の間。 
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