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星河の覇皇

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第七十二部第三章 ジャバルという男その四十一

「実入りが少ないからな」
「技術と設備の投資の割に」
「赤字になりやすい」
「連合でこうした言葉を聞きました」
 ジャバルは目を鋭くさせて述べた。
「軍需産業をやるよりスポーツチームを経営した方がいい」
「クリケットなりか」
 クリシュナータはここでジョークを言った、マウリアで最もメジャーとされるスポーツを話に出してみせたのだ。
「連合でもあるのか」
「あることはあります」
 ジャバルはここではジョークを真面目に返した。
「プロリーグも」
「あの国はあらゆるスポーツのプロがあるな」
「それもまた文化の一環なので」
「文化を楽しむお国柄だからか」
「クリケットのプロリーグもあります」
「そうだったのか」
「そしてそうしたチームを持つ方がいいです」 
 軍需産業に進出するよりもというのだ。
「いいと言われていて実際にです」
「いいのか」
「はい、多少赤字でもです」
 それでもというのだ。
「連日連夜テレビや新聞、ひいてはネット等で自社の名前が言われて宣伝になりますので」
「それだけで名前が売れるからか」
「いいと言われています」
「そうなのか」
「経営が多少赤字でもです」
 ジャバルはまたこのことについて言った。
「宣伝を考えますと」
「相当な実入りか」
「それがありますので。若しくはです」
 ジャバルは連合で聞いたこうした話もした。
「歯ブラシや石鹸を売る方が」
「いいか」
「確実にしかも安定して売れますので」
 生活用品の類はというのだ。
「ですから」
「そういったものの方がいいか」
「設備や技術投資も高くならないので」
 軍需産業と比べてで、である。それも遥かに。
「しかも多く売れますので」
「兵器は高く売れてもな」
「市場が限られています」
「戦争になれば消費され売れるが」
「戦争になれば商業活動自体が停止します」
 それどころではなくなる、まして戦争が起こった場所での商売なぞ危険でそうそう出来るものではない。このことはこの時代でも同じだ。
「論外です」
「まさにだな」
「はい、ですから戦争はないに越したものではありません」
「そういうことだな」
「だから連合ではそうしたことが言われています」
「軍需産業に進出するよりもか」
 スポーツチームを経営するか生活用品を売るかだ。
「その方がいいな、そしてだ」
「その通りですね」
「軍需産業は実入りが悪い」
 クリシュナータも言うことだった。
「だから企業の顔も見なくてはならない」
「出来るだけ彼等の実入りになる様にする」
「その様にな、しかしアウトカーストの政府はだな」
「その問題がありませんでした」
「その分財政が楽でか」
「産業を育成出来ました」
 アウトカースト層のそれがというのだ。
「有り難いことに」
「だからあれだけの総生産を生み出せたのだな」
「その土壌が既にあり」
「君もか」
「発展させられました」
 彼が行った政策によりだ、アウトカースト層の政府の主席となってからのそれで。 
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