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星河の覇皇

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第七十二部第三章 ジャバルという男その三十九

「見学出来ました」
「身体チェックの後でだな」
「そうです、それを受けてです」
「基地の中に入るとか」
「兵器も設備もです」
 それこそというのだ。
「色々と見せてくれました」
「そうだったのだな」
「それで言えます」
 連合軍のこともというのだ。
「規律正しく身だしなみは整っていますが」
「弱兵か」
「はい、エウロパ軍とは違います」
 そうした軍隊だというのだ。
「職業であるだけですし」
「騎士道やそうした精神はないな」
「全く見られませんでした」
 各国にあるそうした階級的な戦う者の矜持はというのだ。
「ただ職業としてです」
「軍人であるだけか」
「警察官や消防署員もそうですが」
「職業か」
「そうした職業の責任感はあっても」
 それはあるのだ、連合にも。所謂職業倫理である。
「ですが」
「それ以上ではないな」
「公務員としてのそれでしかないです」
「随分とドライだな」
「エウロパ軍には騎士道があり」
「それに基づいてだな」
「特に士官は生きていますが」
 そして厳しい訓練で己を鍛えているというのだ、このことは実際にそうでエウロパのノブレス=オブリージュの一つでもある。
「連合にはそれもないので」
「気概もないか」
「それも大きいです」
「だからだな」
「はい、若し連合軍だけで戦っていれば」
「損害はあれでは済まなかったか」
「とてもです」
 六十億の参加人数のうちの百万程度の死傷でしかなかったがだ。
「あれでは効かず勝っていても」
「相当な損害を出していたか」
「政府への批判が出る程に」
 将兵の損害が多くてだ、連合は民主国家なので戦争に勝利をしても犠牲者の遺族等からそうした声も出るのだ。
「そうなっていたでしょう」
「義勇軍なくしてはか」
「連合軍の圧勝はありませんでした」
 とてもというのだ。
「それこそ」
「やはりそうか」
「そうしたことを見ましても」
「連合とエウロパはか」
「共に利点がありまして」
「どちらも侮れないか」
「はい、そしてサハラは」
 ジャバルはこの国のことも話した。
「私はよく知りませんが」
「あの国に行ったことはないか」
「この脚では」
「だからよくはか」
「知りません」
 その目で見た訳ではないというのだ。
「どうにも」
「そうなのか」
「ですからあまり言えません」
 連合やエウロパの様にはっきりはというのだ。
「どうしても。ただあの国はこれから大きなことがあります」
「統一の為のだな」
「最後の戦争が行われます」
「オムダーマンとティムールの間でだな」
「まさに雄雌を決する」
「そうした戦いになるか」
「生き残る国がどちらかは」
 ジャバルは鋭い光を放つ目をさらに鋭くさせて言った、その目は狼か虎かそうした生きものの目であった。 
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