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星河の覇皇

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第七十二部第三章 ジャバルという男その二十四

「出来ないので」
「そうか、では君の言う通りにだ」
「エウロパをですね」
「陰ながら助けていこう」
「連合への工作の拠点を築かせる」
「具体的には連合の目を誤魔化すな」
「エウロパも陰ながら進めますが」
 工作とはそうしたものだ、だからこそだ。
「しかしです」
「それでも連合の目に止まる可能性もあるからか」
「その目を出来るだけ覆い」
「築いてもらうか」
「はい、中央政府の情報収集はかなりですが」
「各国政府はだな」
「いるだけの政府が多いです」 
 ジャバルもまた言うのだった。
「ですが」
「それでもですね」
「用心すべきです、目が多ければ多いだけです」
「見付かる可能性もあるな」
「彼等とて愚かではありません」
 ジャバルはクリシュナータに確かな声で言った。
「ですから」
「それでだな」
「はい、彼等にも警戒し」
「隠すか」
「徹底して」
「そこまで考えているとはな」
「用心に用心を重ねる」 
 こうもだ、ジャバルは言った。
「そうした主義なので」
「ただ動くだけではないか」
「はい、私は」
「では具体的な行動も考えているか」
「ネットで不確実な情報を多く流しサイバー攻撃も行い」
「中央政府や各国のコンピューターにか」
「工作の拠点に相応しい場所も何気に紹介して」
 エウロパ側にというのだ。
「彼等の動きもスムーズにしていきましょう」
「そこまでしてか」
「はい、彼等を助けましょう」
「陰ながらだな」
「我々は関係ありません」 
 あくまで、というのだ。
「表としては」
「表が全てか」
「政治ではそうですね」
「確かにな、政治は裏も大事だが」
 表裏その双方がというのだ。
「見付からない限りは見られるものはだ「
「表だけですね」
「だからだな」
「そうすべきかと思いますが」
「よし、ではな」
「その様にされますか」
「そうしよう、君の言う通りだ」
 まさにというのだ。
「考えているな、見事だ」
「有り難うございます」
「私の目に狂いはなかった、君は見事な人物だ」
 ジャバルの資質を賞賛さえもした。
「だからこそ主席になれたな、だが」
「だが、ですか」
「君はそれで終わるつもりか」
 笑ってだ、クリシュナータはジャバルの目を見て問うた。
「統合される政府の主席で」
「そのことですが」
「どうなのだ」
「主席と同じ考えかと」
「そう言うのか」
「はい」
 ジャバルもにやりと笑って答えた。
「その様に」
「そういうことか」
「私もです」 
 まさにという返事だった。 
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