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星河の覇皇

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第七十二部第三章 ジャバルという男その十一

「それでだ」
「今も国家として存続しています」
「最大の権力は中央政府に」
「国家の」
「それ故にだな」
「マウリア政府も彼等を吸収する」
「その道を選んだか」
 アウトカースト政府というコミュニティーをというのだ。
「そうしたな」
「その通りですね」
「そうだな、今回の件は実に複雑だな」
「そうした問題ですね」
「私も貴重なことがわかった」
 その被差別階級のコミュニティーや利権のことがだ。
「中々に難しい」
「中にはそのコミュニティーの中で事件が起こり」
「彼等の中で処理される」
「警察等が介入しようとしてもです」
「その前に収めることもあるな」
「法律を介さず」
「そして殺人事件ならば」
 領事はふとだ、思うままにこうしたことも言った。
「事件を彼等の中で解決して揉み消すか」
「人身御供を犯人として社会に出す」
「そうしたこともだな」
「あったりします」
 戦後日本の関東のある被差別部落でこうした事件があったという、女子高生が殺され死体が埋められた。容疑者はすぐに捕まったがその証言はどれも検証してみると無実を示すものだった。しかしこの容疑者は実刑判決を受けた。
 この容疑者は被差別部落出身であることからこの件からも差別問題が言われた、だが検証して気付いた者がいるのだ。
 この事件は何故か関係者が多く急死している、その中に一人怪しい人物がいたのだ。それも被差別部落に近いかその中にいる者だ。このことからこの事件は被差別部落出身者への偏見による冤罪事件ではなく被差別部落内でのコミュニティー内で起こり処理されたうえで容疑者が人身御供とされた事件ではないかという説もある。
「実際に」
「嫌な話だな」
「そしてです」
 外交官はさらに言った。
「そうしたコミュニティーは放置していますと」
「さらに閉鎖的、排他的になる」
「そうなりますから」
「だからだな」
「余計に放置出来ません」
「むしろマウリア政府は放置し過ぎた」
 領事はこう指摘した。
「そう言えるな」
「はい、確かに」
「数百年の間な」
「宗教的戒律、そして偏見により」
「そしてもう一つの政府まで作ってしまった」
 彼等が直接したことではないがだ。
「そうしてしまった、だが」
「それでもですね」
「それを遅かったとはいえな」
「訂正に動きましたね」
「そうなったな、しかしこのまま放置していれば」
 領事は眉を少し顰めさせてその場合について言及した。
「果たしてどうなっていたか」
「叛乱ですか」
「それも起こっていたか」
「アウトカースト層政府のですね」
「それが起こっていただろうか」
「可能性としてはです」
「有り得たな」
 こう外交官に問うた。 
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