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星河の覇皇

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第七十二部第三章 ジャバルという男その六

「予言されていたとな」
「先には言わないですね」
「そうだ、そうした輩はだ」
「信用しないことですね」
「似非宗教家は詐欺師だ」
 領事はまたしても看破した、今度はこのことを。
「それもかなり悪質で狡猾なな」
「普通の詐欺師ならわかりますが」
「しかし宗教の看板を掲げているとな」
「それがわかりにくいですね」
「宗教はまやかしかどうか見極めにくい」
 つまり詐欺かそうでないかをだ。
「だから何とでも言えるところもある」
「予言もまた」
「事前に言うのならまだいい」
「例え外れようとも」
「それではまだ誠意がある、だがな」
「後で言うことは」
 予言されていたとだ。
「それは詐欺だ」
「当てた自分が凄いとですね」
「言ってそれで信者を集める」
「そのうえで信者からですね」
「金を吸い上げ己の権勢の為に使う」
「そういうものですね」
「それが似非宗教家だ」
 その行動パターンの一つだというのだ。
「後で言う輩程信用に値出来ない輩もいない」
「詐欺師だからこそ」
「それも悪質な、な」
 詐欺師の中でもだ、またこう言ったのだった。
「そうした輩だ、ジャバル主席についてもな」
「彼の登場からですね」
「変に持ち上げたり予言されていたと言うのならな」
「宗教家がそう言うのなら」
「詐欺師だ、そして本に出すだけでもな」
「よくはないですね」
「予言もの程後で何とも言えるものはない」
 歴史の出来事をあの時どうすればよかったと言う以上にだ、日本では二重世紀後半は第二次世界大戦でこうしたことがやたら言われていた。
「まあ先に何が起こるとか言って外す予言の本もあるが」
「それはご愛嬌ですね」
「何年か後で読んで笑うことも出来る」
「この本に書いてある通りにはならなかった」
「そう言って笑うことがな」
「出来ますね」
「しかし後出しの予言は違う」
 くれぐれもというのだ。
「そのことは事実だ、しかしジャバル主席はどうもだ」
「予言されていたと言われるまでの」
「そうした人物かも知れないな」
「傑物だかこそですね」
「そう思う、彼が野心と資質とカリスマに従い動けば」
 自分の中にあるそれにだ。
「果たしてどうなるか」
「そのことは」
「一挙手一投足に注目してだ」
「考えていきますか」
「そうしていこう」
 あらためてこの考えを言葉とした。
「我々も」
「それでは」
「そうだな、しかし実にいい顔だ」
 領事はジャバルの写真、立体ホノグラフィーのそれを見てまた言った。
「映画俳優の様だ」
「そうですね」
「もてるだろうな」
「それもかなり」
「ヒトラー以上にな」
「ヒトラーも女性に人気がありましたね」
「当時ドイツで最ももてた男だった」 
 その支持者の半分が女性だった、彼には常に女性からの贈りものが山の様に届いていた。とかく女性も魅了したのだ。 
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