| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

星河の覇皇

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第七十二部第三章 ジャバルという男その五

「可能性はゼロに近い」
「それも限りなく」
「そうだ、しかしだ」
「しかし?」
「こうした人物が出ると連合の中でもだ」
 少しだ、領事は顔を曇らせてこんなことも話した。
「この人物は予言されていただの言う者が出て来るな」
「ああ、いますね確かに」
「何か起こる、誰かが出るとだ」
「予言されていたとですね」
「言い出したり変に持ち上げたりする」
「そうしたことを言う宗教家もいますね」
「上に似非が付くな」 
 領事は顔を曇らせたまま言った。
「いるな」
「はい、確かに」
「似非宗教家はすぐにそう言う」
「予言だの持ち上げる発言だの」
「目立つ政治家が出ればな」
「連合の内外を問わず」
「そしてあわよくば擦り寄る」
 他国の政治家であってもだ、各国の間では連合内の他国の政治家にそうするのだ。酷い場合は何時の間にか外交スタッフに収まっていたりする。
「そうした輩がいる」
「政教分離の筈ですが」
 連合の政策の根幹の一つだ、これはエウロパでも同じだ。ただしイスラエルではそうはなってはいない。
「しかしですね」
「宗教家がそんなことをする」
「殆どの宗教家は違いますが」
「似非だとな」
「すぐに政治に関わりたがりますね」
「このマウリアやサハラは国家と宗教が一体化している」
 ヒンズー教、若しくはイスラム教にだ。イスラムは文明全てを為すものであり政治もその中の一部に過ぎないのだ。
「それならそれも当然だが」
「政教分離の筈の連合でそれは」
「胡散臭いな」
「全く以て」
「まともな宗教家ならそうはしない」
 政治に関わろうとしないというのだ。
「最初からな」
「その通りですね」
「しかしだ」
「はい、似非宗教家はそうであり」
「すぐに予言だの言い出す」
「しかも後から」
「予言は何とでも言える」
 それこそとだ、領事は看破した声で言い切った。
「後でな」
「起こったその後で」
「何とでも言える」
「どの戦争が予言されていた、あの事件は予言されていた」
「災害でもな」
「何でもですね」
 日本でもあったことだ、阪神大震災が起こった後でこの震災は予言されていたと言い出した常に人類滅亡を叫んでいるとある漫画で言い出していた。眼鏡をかけた漫画編集者が率いるミステリー調査団が主人公の漫画だ。
「後で言えますね」
「ノストラダムスなりエドガー=ケイシーでも占いでもいい」
「それこそ何でも」
「そのもっともらしい言葉を出してだ」
「それを出して言えば」
「何とでも言える」
 それこそというのだ。
「どんな出来事でもな」
「ニガヨモギがチェリノブイリというのも」
「普通に言える、しかしだ」
「予言を前にですね」
「ある、注意しろと言う者はだ」
「そうした予言者にはいないですね」
「後で言う」
 この時代でも鉄則である、こうしたことを言う輩は絶対に後から言うのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧