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星河の覇皇

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第七十二部第三章 ジャバルという男その七

「顔は普通、いや」
「恐ろしい顔でしたね」
「チョビ髭で誤魔化されていたがな」
「眼光が異常に鋭く」
「顔立ちもな」
「怖いものがありましたね」
「だがだ」
 チョビ髭で隠されているその恐ろしい顔立でもというのだ。
「女性にも任期だった」
「非常にもてていましたね」
「そうした顔でもな、だからだ」
「ジャバル主席なら」
「おそらくだ」
「ヒトラー以上に」
 まさにというのだ。
「もてているだろうな」
「そうでしょう」
「ではな」
「そのこともですね」
「調べるか」
「では」
「うむ、調べてな」
 そしてとだ、領事は外交官に話した。
「女性からの人気も高いとだ」
「余計にですね」
「警戒すべきだな」
「女性からの支持もおそらく」
 外交官はここで自身の推察を述べた。
「高いでしょうが」
「カリスマがあるとな」
「性別に関係なくです」
 まさにというのだ。
「支持を集めます」
「しかも圧倒的なな」
「ヒトラーがそうであった様に」
「ヒトラーもそうでしたし」
 先程話した様にだ、ヒトラーは女性から圧倒的な支持を得ていた。伊達にドイツ国民全体から支持を得ていた訳ではない。
「あの主席殿も」
「圧倒的にだな」
「女性からも支持を得ているでしょう」
「やはりそうだろうな」
「それを確かめるのですね」
「そして女性から支持を得ていてもだ」
 俗な言葉でもてていてもだ。
「女性に対して清潔ならだ」
「かえって危険ですね」
「無欲の人物程」
 個人ではというのだ、この領事もこう言うのだった。
「野心は大きい」
「国家等に求めるものは」
「おおむねそうだ、個人の欲を極めるならだ」
「まだ野心は少ないですね」
「大抵はな」
 確かに金日成の様な人物もいるがだ、個人の贅沢を極めながら世界の指導者の一人になろうとする様な極端な野心家はだ。
「そうだ、ヒトラーは実にだ」
「女性にも清潔でしたね」
「浮いた話が殆どなかった」
 姪との関係が言われていたりエヴァ=ブラウンの存在があってもだ。そもそもエヴァ=ブラウンにしても長年傍にいた軍人、グーデリアンの様な元帥とまでいかずとも軍の中枢にいたと言っていい者ですら知らなかった。そこまでヒトラーには女性の話が少ない。
「不思議なまでな」
「それだけ女性には清潔でしたね」
「そのことは間違いないな」
「金銭欲もありませんでしたし」 
 これもヒトラーには無縁だった。
「蓄財はむしろです」
「女性についてよりもな」
「興味がなかった」
「そうでしたね」
「そしてあの主席殿も」 
 そのジャバルもだ。 
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