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星河の覇皇

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第七十二部第三章 ジャバルという男その三

「普通はしない」
「野心があるからこそ」
「即座にそうした、そしてだ」
「しかもですね」
「勝算があるからだ」
「立候補しましたね」
「野心があるだけでなくだ」
「相当な、ですね」
「資質があることはな」
 このことを領事は痛感した、そしてだった。
 そのうえでだ、領事は外交官に言った。
「間違いない、カリスマに野心に資質か」
「三つを兼ね備えていますね」
「それもどれも非常に高い」
 そのレベルもというのだ。
「味方ならいいがな」
「連合にとってですね」
「敵になるのなら」
「これ以上はないまでに敵ですね」
「敵に回したくないものだ」
 領事は眉を曇らせてこうも言った。
「敵は少ないに限る」
「我々は只でさえ敵を抱えています」
「エウロパをな」
「エウロパにも厄介な御仁がいます」
「ギルフォード総統がな」
「あの総統殿は忌々しいことに」
 実際にだ、領事はその口元を歪めさせ目にも嫌悪のものを宿らせてだ。そのうえで外交官に対して言った。
「優れた政治家だ」
「敵として」
「エウロパ自体が敵だ」
「はい、我々連合にとって」
「その御仁が国家元首だとな」
「厄介です」
「有能な敵程厄介なものはない」
 非常にというのだ。
「だからだ」
「あの総統殿が敵にいて」
「そしてです」
「マウリアともなるとな」
「余計に厄介です」
「有能な敵は厄介でありだ」
 領事はさらに言った。
「そしてだ」
「敵は少ない方がいい」
「だからだ」
 どうしてもというのだ。
「マウリアは出来る限りな」
「敵にしたくないですね」
「同盟国のままであって欲しい」
「このまま」
「そのエウロパを助けることには腹が立つが」
 しかしというのだ。
「だがな」
「マウリアはですね」
「同盟国のままであって欲しい」
 領事は心から言った。
「エウロパもマウリアも敵になるとな」
「連合としても厄介ですね」
「国力ではどちらも圧倒している」
 例えエウロパとマウリアが協同して連合にあたってもだ、国力から見れば連合にとってどうということはない。
 しかしだ、領事は外交官にこう言ったのだった。
「だが敵はな」
「とにかく少ない方がよく」
「マウリアからは情報を得ていきたい」
「これからも」
「この国は人類の全ての勢力が混在している」
「我々にエウロパ、そしてサハラが」
「エウロパの情報も手に入る」
 このことをだ、外交官も言った。 
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