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星河の覇皇

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第七十二部第三章 ジャバルという男その二

「このことがわかったのはです」
「今になってだな」
「そうです」
 まさにとだ、領事に話した。
「アウトカースト層の政府の存在は知っていましたが」
「これまではな」
「彼等は無視されてきました」
「存在しているが存在していないものとされていた」
「戸籍になかったのです」
 だからこそというのだ、マウリアのアウトカースト層の者達自体がだ。
「マウリアに存在していますが」
「戸籍にはない」
「そうした政府だったので」
 一千億のアウトカースト層自体がだ、彼等の存在自体が知られていなかったし人口についても正確に把握されていなかった。
「ジャバル主席についても」
「誰が主席かさえも」
「わからなかった」
「そうだったな」
「ですがジャバル主席の調査をしていきますと」
「調べれば調べる程だな」
「相当な人物とわかってきています」
 こう領事に話した。
「私自身の考えですが」
「そうだな、私もだ」
「領事もですね」
「そう思う、並の人物いや」
「相当なですね」
「そう言ってもまだ足りない」
 ジャバル、彼はというのだ。
「ジャバル主席、恐ろしい人物だ」
「これからですが」
「ジャバル主席をさらに調べてだな」
「その動向も見極めたいと思っています」
「何を考えているか」
「そしてどう動くか」
「今は彼についてわかっただけだな」
 こう領事は言った。
「今は」
「はい、まだまだです」
「それだけだな」
「ですからここは」
「調べていってくれるか」
「そうしたことも」 
 ジャバルの動向までもというのだ。
「それこそが問題ですから」
「わかった、では頼む」
「そうさせてもらいます、ただどうもです」
「どうも?」
「四年で主席になったのは能力だけでなく」
「野心か」
 領事も言った。
「それか」
「はい、そちらもです」
「かなりのものか」
「そうでなければ」  
 自身から望まなければというのだ。
「とてもだ」
「あそこまで、ですね」
「なれない」
「無欲は求めない」
「求めずしてだ」
「はい、あそこまではですね」
「あの若さでだ」
 若冠二十七歳でというのだ。
「なれる筈がない」
「ましてや一千億の市民を擁する政府の元首には」
「なれない」
 とてもというのだ、領事も。
「私はそう思うが」
「私もです、野心がないと」
「なれないな」
「あの若さであの座はありません」
「そもそも大学を卒業してだ」
「即座にですね」
「議員に立候補するなぞだ」
 それこそというのだ。 
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