星河の覇皇
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第七十二部第三章 ジャバルという男その一
ジャバルという男
マウリアの連合大使館及び領事館はおおむね多忙である、連合中央政府jは連合内の各国とも連合を代表する政府でありながら外交も行っているがマウリアに対してもそうだ。むしろ国交のないエウロパや戦乱が酷く中々外交官自体を派遣出来ないサハラ各国の情報を収集する為にもマウリアへの外交はかなり力を入れられている。
その中の領事館の一つがだ、今ジャバルについての情報を集めていた。
そしてだ、外交官の一人が若く浅黒い肌の青年の写真を見せて話した。
「この人物がです」
「ジャバル主席か」
領事もその彼の写真を観て応えた、彫のある顔に痩せた身体と長く縮れている黒髪である。背は共に映っているマウリア人達より頭一つ高い。
「美男子だな」
「映画俳優の様ですね」
「顔もいいか」
「この容姿のよさも手伝って」
外交官は領事に話した。
「アウトカースト層の政府の中でもです」
「人気があったのだな」
「この容姿でそして」
ここで外交官は自身の携帯も出した、そこにはジャバルの動画があり彼が演説をしている場面が映っていた。
「この声です」
「声もいいな」
「美声ですね」
「しかも発言が明瞭でな」
「わかりやすい演説ですね」
「政策の内容はこれから調べたいが」
それれもとだ、領事はジャバルの華やかな身振り手振りも交えた演説も聞いたうえでそのうえで外交官に言った。
「わかりやすい演説だ」
「大衆の心を掴みやすい」
「そうした演説だな」
「この外見と容姿もありです」
「ジャバル主席は人気があるのだな」
「そうです」
こう領事に述べた。
「カリスマ性があります」
「カリスマか」
「容姿と声、それに演説の才能があり」
「全てが備わっているか」
「ですから」
「議員に立候補してか」
「支持を一気に集め」
そしてというのだ。
「当選しました」
「そこからが成ったな」
「そうです、大学を卒業してすぐにです」
選挙に出たというのだ。
「そのうえで当選してです」
「それからもだな」
「実績を挙げ閣僚からです」
「主席か」
「そうなりました、二十七歳で」
主席になったというのだ、アウトカースト層の政府の。
「四年で」
「それが出来た根拠の一つがこういったものか」
「容姿と声、演説です」
「そこから生じたカリスマ性か」
「ただ容姿がいいだけならです」
若しそれだけならとだ、外交官は領事に言った。
「幾ら何でもです」
「四年で政府の代表になぞなれない」
「二十代で市長になった例はありますが」
連合でもある、若いがそうなることも確かに可能であり実例も存在している。
「しかし政府の代表となりますと」
「そうそうはな」
「出来ません」
「二十七歳で主席になった」
「そのことが出来たことはです」
「こうしたものがあったか」
「はい、ですが」
外交官はここで領事にこうも話した。
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