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星河の覇皇

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第七十二部第二章 アウトカースト政府その三十五

「その読書によって多くのものを得ていた」
「それは間違いないな」
「勤勉でもありましたし」
「日々激務に励んでいた」 
 独裁者は己に権限を集める、そしてその分仕事が多くなる。勤勉でないと務まらない仕事だ。
「人間としてはか」
「批判される人物ではありませんでした」
「人種差別思想でもな」
「生活自体は」
「そうだったな、しかしだな」
「それでもでした」
「国家に求める野心は巨大だった」
 愛するドイツへのそれはだ。
「愛国者でもあったが」
「愛国者であるが故に」
 ヒトラーはオーストリア生まれだったがドイツを祖国と考え愛していた、このことも非常に矛盾したことである。
「そうでした」
「そうだったな、ではジャバル主席が愛国者なら」
「そのことも調べていきます」
「頼んだ、ヒトラー以上の人物なら」
 アッチャラーンは食事を楽しみつつもその目を鋭くさせて言った。
「危険人物である可能性がある」
「連合にとっても」
「そのことは大統領にだ」
「お話させて頂きます」
「是非な、これまで連合は他国に無関心だったが」
 エウロパ以外の国にはだ、特にそれが国益になると判断しておらず自国の中のことに殆どの力を割いていたのだ。
「それも変わるか」
「徐々にでも」
「マウリアのことについてもか」
「各国政府はどうかわかりませんが」
「中央政府はだな」
「これからはマウリアにはこれまで以上に」
 外相としてだ、カバリエは答えた。
「そうしていきます」
「ではな」
「その様にやらせて頂きます」
 こう答えてだ、カバリエはタイ料理を楽しんでいった。そしてそのうえでこれからのマウリアへの外交とその前の情報収集を進めていくことを決意していた。 
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