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星河の覇皇

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第七十二部第二章 アウトカースト政府その三十四

「政治活動もそうでした」
「とかくだな」
「カエサルは浪費家でした」
「質素ではなかったな」
「ヒトラーは修道僧の様でした」
 その生活はだ、尚甘党でありチョコレートやケーキを好み彼がワインを飲んでいるのを見て驚いた将軍もいた。
「しかしカエサルは浪費家でした」
「そうだったな」
「ですが能力はありました」
「ヒトラーでなければか」
「ジャバル主席はカエサルでしょう」
「贅沢であっても資質はあるか」
「そうかと、私が思いますに」
 カバリエはその目の光を強くさせてアッチャラーンにこうも言った。
「質素である方が危険です」
「カエサルよりもか」
「かえさるとヒトラーどちらが危険か」
「その野心が」
「やはりヒトラーだと思いますが」
「私が思うにヒトラーはカエサルと同じ時代にいても台頭していた」
 その恐るべき能力においてだ、カリスマと頭脳は人間離したものがあったのは事実であった。一度聞いたことは忘れなかったという。
「そしてカエサルと対峙していた」
「スッラやポンペイウス以上に」
「ヒトラーに勝っていたかも知れない」
「その場合は」
「ローマは恐ろしい野心を抱いた国になっていたな」
「カエサルは確かに野心がありましたが」
「ローマをそこから大きくするまではな」
「パルティアやゲルマン民族という敵の征服は考えていましても」
 そしてガリアのだ、そうしたことは考えていた。
「それでもです」
「ヒトラー程はな」
「巨大な野心ではありませんでした」
「ヒトラーならどこまでの野心を持っていたか」
「彼の野心、いえ心に妥協はありませんでした」
 我fが闘争にある通りだ、彼は全てを求めそれが適えられないと破滅己も含めたそれを求める男であった。
「それこそパルティア等に勝つだけでなく」
「その全てを征服する」
「そう考えていたでしょう」
「カエサルは勝利だけを考えていたな」
「政治でのそれを」
 戦場でのもの以上にだ、ガリア戦記にある通りカエサルはあくまで政治家であり戦争もその中にあったのだ。 
 ヒトラーもそれは同じだった、だがなのだ。
「カエサルのそれは限定的でしたが」
「ヒトラーは徹底的だったな」
「どうもカエサルは自分自身にも欲があるので」
「その分ローマの欲は求めなかったか」
「ですがヒトラーは無欲でした」
 彼個人はだ。
「とかく」
「そしてその分だな」
「ドイツへの欲になっていたかも知れません」
「野心にか」
「当時のローマとドイツの状況もそれぞれ違いましたが」
「元々のコカに求めるものが違う」
「ヒトラーはより巨大でしたが」
 その理由はというのだ。
「個人が無欲でありその欲が国家に向けられる」
「そうかも知れないか」
「人間心理の代替でしょうか」
「それによってか」
「個人への欲が希薄ですと」
「その所属する国家や組織に求めるものが大きくなる」
「野心として」
 こうアッチャラーンに話した。
「そうかも知れないですね」
「複雑な人間心理だな」
「その通りですね」
「その野心の達成の為に己も磨く」
「ヒトラーはかなりの読書家でした」
 どの様な難解な書も読破したという、平民出身で素養としての教養はなかったが読書でそれを補ったのだ。 
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