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星河の覇皇

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第七十二部第二章 アウトカースト政府その三十一

「普通はだ」
「食べないですね」
「まず不格好でだ」
「しかも毒がありです」
「その毒が極めて強い」
「それではです」
 しかもその毒は致死性と言ってもまだ生易しい、それこそトラフグ一匹の毒で二十人は死んでしまう程だ。
「そうそう食べられません」
「あれはな」
「間違いなく多くの犠牲を払っています」
 河豚を無事に食べられる様になるまでにだ。
「何処に毒があるかを見極める為に」
「それを考えるとな」
「偉人ですか」
「河豚を食べた人達もな」
「偉大なる開拓者ですね」
「食も然りだ、タイでは蠍も食べるが」
 からりと揚げて食べる、蠍の毒は神経毒といい体内の蛋白質から作られるもので熱するとその毒は無効化されてしまうのだ。
「あれもな」
「毒針で刺してきますから」
「まず近寄ることすら思わない」
「毒蛇と同じですね」
「蛇もそうだ、そうしたものを食べることすらな」
「非常に勇気が必要で」
「先駆者だ」
 それも偉大な、というのだ。
「まことにな」
「そうですね、私もそうしたものを最初に食べた人はです」
「偉大だな」
「そう思います」
 実際にというのだ。
「非常に、そして」
「それと共にか」
「これはあらゆることで言えることで」
「マウリアでもだな」
「そうです、正確に言うと先駆者ではないですが」
「アウトカースト層の国家主席か」
「若しジャバル主席がそうなりますと」
 アウトカースト層の主席に留まらずだ。
「それもまたです」
「それだけで偉大なことだな」
「そう思います、そのこと自体は」
「素晴らしいことだがそれだけではなく」
「やはり連合にとってどうか」
「このことが大事だな」
「我々にとっては」
 カバリエはビーフンも食べた、炒められた米から作られた麺も実に美味い。東南アジアの料理の定番の一つでこれの味付けも辛い。
 その辛いビーフンを食べつつだ、カバリエはアッチャラーンに話した。
「そうなります」
「そうだな」
「連合の人権についての考えは歓迎すべきことでも」
「問題は連合にとってどういった人物か」
「そのことが問題です」
「危険な野心家か」
 アッチャラーンもビーフンを食べつつ述べた、野菜と実によく合っていて美味い。
「その野心が連合を利用するものであれば」
「それが連合の国益になれば乗るべきですが」
「そうでなければだな」
「乗るべきではありません」
「そういうことだな」
「そう思います」
 カバリエはアッチャラーンに一言で答えた。
「それを見極めることもします」
「わかった、ではよく見ていてくれ」
「それでは、概ねですが」
 こう前置きしてだ、カバリエはこうしたことも言った。 
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