| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

星河の覇皇

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第七十二部第二章 アウトカースト政府その二十八

「それでは」
「頼む、しかし一千億ものアウトカースト層がいてか」
「高度な社会を築いていて」
「そしてだな」
「そうした人物もいます」
「まさかな」
 アッチャラーンも難しい顔で述べた。
「そこまでだったとは」
「思いませんでした」
「私もだ」
 アッチャラーンもこう言った。
「思わなかった」
「国家の中にもう一つの政府が存在する」
「国家全体を治めるな」
 例えそれが非公式の特定の階層のみのものであってもだ。
「そうしたことがこの時代にあるとはな」
「想像もしていませんでした」
「全くだな、だが」
「それでもですね」
「実際に存在していてだ」
 そしてというのだ。
「活動している」
「それはないですね」
「有り得なかったことだ」
「本来は」
「しかしあってだ」
「非常に整った政府であり」
「立派に機能している」
 それも成っているというのだ。
「尚且つその主席はかなりの人物か」
「それも危険な」
「想定外のことが続いているな」
「はい、そしてそのジャバル主席はです」 
 その彼はというのだ、再び彼の話になった。
「かなりの野心家であると思われますので」
「今では収まらず」
「どうなるか注視していきます」
 カバリエはトムヤンクンを食べつつ話した、辛く野菜や魚介類が多く入っているタイ料理を代表するスープである。
「細かく」
「マウリアの主席になれるだろうか」
「マウリアの常識から考えますと」
「無理だな」
「アウトカースト層が国家主席になることは」
「今のマウリアではな」
「不可能です」
 常識で考えると、というのだ。
「それはです」
「そうだな」
「はい、しかし」
 それでもとだ、ここでまた言ったカバリエだった。テーブルには炒飯やトムヤンクンだけでなくビーフンや野菜料理もある、他にはタイ風のソーセージ等もある。どれも唐辛子を効果的に使った絶妙な辛さの料理だ。
「不可能とはです」
「人がそう思っているだけでな」
「そのそれぞれの常識で」
「しかしそれは神仏が定めたものか」
「人がそう思っているだけです」
 そうしたものに過ぎないというのだ。
「ですから」
「時として可能となる」
「不可能を可能にする人物が出ます」
「そうしたものだな」
「人類の歴史ではです」
 まさにというのだ。
「不可能が可能となったことは」
「多々あるな」
「文明でもそうであり」
「そして政治でもな」
「不可能は可能となってきました」
 例えばアメリカでアフリカ系の大統領は誕生しないと言われていたしその前は白人でアングロサクソンそしてプロテスタントでないと大統領になれないと言われていた。しかしそのどちらも覆されてきているのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧