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星河の覇皇

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第七十二部第二章 アウトカースト政府その二十七

「確かにです」
「例え彼が民主政治を守っていてもです」
「あの主張と行動、思想はです」
「大いに問題でした」
「そういうことよ、大事なのはね」
 それはというと。
「その人だから」
「だからこそですね」
「ヒトラーは危険であり」
「ジャバル主席もですか」
「若しかすると」
「有能極まりカリスマ性に満ち溢れた野心家はね」
 しかも謀略まで使うとなるとだ。
「これ以上に危険な存在はないわ」
「だからこそですね」
「あの御仁は危険であり」
「よく見ていてですね」
「巻き込まれない様にすべきですか」
「今のクリシュナータ主席は普通に優秀だけれど」 
 優れていることは優れているがその範疇に留まっているというのだ。
「あの主席殿は違うみたいだから」
「わかりました、ではです」
「ジャバル主席はこれから注視していきます」
「そしてそのうえで、です」
「外交も考えていきましょう」
 スタッフ達もカバリエの言葉に頷いた。
「アウトカースト層の政府だけでなく」
「主席であるあの方についても」
「よく調べてです」
「対策を講じていきましょう」
「ではね」
 こう言ってだ、そしてだった。
 連合中央政府はジャバルに対してとりわけ注視する様にした、カバリエ自身の指示によって。だがその中でだ。
 カバリエは首相であるアッチャラーンにだ、深刻な顔でこうしたことを言った。
「正直迂闊でした、彼等のことは」
「アウトカースト層のことか」
「はい、マウリアの」
「今まで碌にわからなかった」
「そうでした」
 それこそというのだ、二人はタイ料理のレストランで食事を摂りつつ話していた。
「残念なことに」
「そしてあの主席殿か」
「調べれば調べる程です」
「野心家でだ」
「有能で」
「危険な人物か」
「そうです」
 こう話すのだった。
「これから何をするかわかりません」
「今の立場で満足していないか」
「そうかと」
「そうなのか」
「これからも情報を集めていきますが」
「やはり危険であるという認識はか」
「変わらないかと」
 カバリエの中にあるそれはだ。
「連合も巻き込まれない様にしてです」
「対策もだな」
「講じていくべきです」
「わかった、ではだ」
 タイ風の炒飯、上に目玉焼きを乗せたそれを食べつつだ。アッチャラーンは答えた。ここで壁にかけてあるタイ国王の写真が目に入り軽く会釈もした。
「彼についてはだ」
「これからもですね」
「外務省に調べてもらいたい」
「わかりました」
 カバリエも答えた。 
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