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星河の覇皇

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第七十二部第二章 アウトカースト政府その二十六

「ただ、ヒトラーはゲルマン民族の生存圏を掲げていましたね」
「我が闘争ですね」
 そのヒトラーの著作だ、彼の思想を知る故で非常に重要な書であるとされる。ただこの時代でもイスラエルでは禁書となっている。
「あの本にありますね」
「それはないわね」
「そうですか」
「マウリアの生存圏は確保されているわ」
「マウリア自体がですね」
「しかもあの国は南方に未開の星系が無数にあるから」
 このことは連合と同じだ、マウリアも多くの開拓すべき場所を前にしているのだ。
「だからね」
「それで、ですね」
「あそこまで極端なことはしないわ」
「侵略戦争やユダヤ人排撃等」
「そうしたことはしないわ、ただね」
「野心はですか」
「大きいわね」
「ヒトラー以上に」
 スタッフの一人も言った。
「大きいのですね」
「間違いなくね、だからね」
「警戒すべき人ですか」
「そう思うわ」
 こう言うのだった、ジャバルについて。
「その野心に連合は巻き込まれない」
「そのことが大事ですか」
「我々としては」
「そう思うわ、若しかすると」
 ジャバルについてだ、カバリエはこうも言った。
「あの主席殿はシャイターン主席と同じかそれ以上にね」
「危険な野心家ですか」
「謀略家でもあり」
「そうした人物かも知れない」
「その可能性もありますか」
「ええ、野心があり」
 また彼のこのことを指摘した。
「謀略を厭わずしかも得手とするなら」
「これ以上はなく危険で」
「目的の為には手段を選ばない」
「そうした方だからですね」
「我々としましても」
「マウリアの中でいるならいいわ」
 それならばというのだ。
「あの国で何をしてもね」
「連合に影響がないのなら」
「それならですね」
「ええ、何をしてもいいわ」
 それならばというのだ。
「全くね、ただね」
「それがですね」
「連合を巻き込むなら」
「それならばですね」
「その時はね」
 まさにというのだ。
「問題よ、だからね」
「そうした時に備え」
「巻き込まれない様にですね」
「警戒すべきですね」
「何としても」
「そうよ、ヒトラーの様に独裁政治を行わなくても」
 連合では独裁政治は好まれない、貴族政治程ではないがやはり民主的でないと否定されているのだ。だからサハラに多く出た独裁者達にも手を貸してこなかった。サハラに対して無関心であることの方が遥かに大きな要素であったが。
「問題なのよ」
「民主政治家でもですか」
「ヒトラーが例え民主政治を守っていても危険ね」
「はい」
 そう言われるとだ、スタッフの誰も否定出来なかった。 
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