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星河の覇皇

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第七十二部第二章 アウトカースト政府その二十五

「野心もね」
「そちらもですね」
「相当におありですね」
「そうなりますか」
「大抵はね」
 カバリエは強い目の光で言った。
「そうした人はかなりの野心があるわ」
「では現状では満足せずに」
「さらなるものを求めている」
「そうなのですか」
「おそらくそうね、そしてその狙うものは」
 その目の光をさらに鋭くさせてだ、カバリエは言った。
「マウリア自体の国家主席ね」
「その座もですか」
「狙っておられる」
「そうなのですか」
「そう、ただこれはこれまで以上にね」
 僅か二十代で何も後ろ盾もない状況から国会議員になり数年で政府の代表になる様なことよりもというのだ。
「困難よ」
「アウトカースト層でそうなることは」
「マウリアの主席にですね」
「そうなられることは」
「ほぼ、ですね」
「不可能よ」
 まさにというのだ。
「本来はね、けれどね」
「それでもですね」
「若しかすればですか」
「それが出来るかも知れない」
「そうなのですね」
「ええ、可能性は極めて低いわ」
 カバリエはマウリアの現実を見て述べた。
「ここからそうなることはね」
「そうですね、確かに」
「あのブラウベルグも二十代で議員になっていますが」
 エウロパの国父だ、連合にとっては忌まわしい歴史的な敵だ。当然彼等の歴史では悪の象徴の様に扱われている。
「三十代で総統になっていますし」
「彼は元々政治家の家でした」
「昔からの貴族の家の嫡男で」
「人脈も豊富でした」
「ええ、そうだったわ」
 ブラウベルグはとだ、カバリエも言った。
「ブラウベルグはね」
「そうしたものがあり」
「そしてなれましたが」
「彼はね」
 ジャバル、彼はというと。
「違うわね」
「資産があるにしても」
「権門とは関係なく」
「大学時代に政治活動に携わり」
「そこからでしたね」
「そこからはじめてです」
「ああなったので」
 スタッフ達も言う。
「また違いますね」
「まさに裸一貫からはじめました」
「そして二十代で政府の代表とは」
「サクセルストーリーにしても出来過ぎです」
「ヒトラーが十数年かかったことを数年でやり遂げたのよ」
 カバリエはここでまたヒトラーを例えに出した。
「資質もヒトラー以上と考えていいし」
「野心もですか」
「そちらもですか」
「ヒトラー以上」
「それだけのものがあるかも知れないのですね」
「若しかするとね」
 こう推測するのだった。 
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