星河の覇皇
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第七十二部第二章 アウトカースト政府その二十二
「出来たかも知れないですが」
「暗殺されてしまっては」
「どうしようもありません」
「そうだね、だからどうしても」
「業績はインド独立で終わりました」
そうなったというのだ。
「そしてアウトカーストの問題は」
「進展したんだけれどね」
二十世紀、そして二十一世紀に紛れもなくだ。少なくとも問題を解消しようという動きは当時のインドにもあった。
「けれどね」
「それが戻って」
「そしてね」
「これまでに至りました」
「それをね」
「はい、何としてもです」
「乗り越えられれば」
ジャバル、彼がだ。
「彼はガンジー以上の英雄になるかも知れない」
「その通りですね」
「ガンジーが英雄かどうかはともかく」
「偉人でありますが」
「英雄かな」
「戦わない英雄でしょうか」
戦わず目的を勝ち取った、ということか。英雄は何も戦うだけがそうでないとすればガンジーも英雄となるだろう。
「そう考えますと」
「彼も英雄だね」
「そうなるかと、ただ」
「その資質はね」
「英雄のものです」
「そう言っていいかな」
「そうかと、そしてジャバル主席は」
大使館員はまた彼のことを話した。
「若しもです」
「野心を持っていて」
「中央政府の国家主席になれたなら」
「有り得ないことであるだけに」
「凄いことです」
「そうだね、ではマウリアはこれからは」
「注目すべきですね」
その立場を考慮してもとだ、大使館員は大使に述べた。
「やはり」
「そうだね、しかしね」
「それでもですね」
「ここにいるのは私達だけだ」
「二人だけです」
「情報収集はね」
大使館として為すべきこの仕事はというのだ。
「二人でしかね」
「出来ないですね」
「二人では出来ることが限られているよ」
「マスコミやネットでの情報収集も」
「どうしてもね」
「では」
「やっぱり本国もいるだけでいいという考えだし」
マウリアには無関心でだ。
「まあ出来るだけね」
「やっていくということで」
「そうしていこう」
「やれることをですね」
「やって集めた情報を本国に送る」
「それだけですね」
「そう、我々が出来る仕事はね」
パーティーを開くにしても来るマウリア人も少ない、時には市井の人がふらりと来て飲んだりする程なのだ。
「大したことじゃないし」
「二人だけでは」
「とかくね、ではね」
「やっていきますか」
「そういうことでね、じゃあ今から」
「ネットで調べて」
「読んでいこう」
こう話してだ、そのうえで。
この国の大使館も動いた、だがやはり情報は得られるものが少なかった。
それはどの国も同じだった、各国のそれは。
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