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星河の覇皇

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第七十二部第二章 アウトカースト政府その二十一

「ネイティブが地球にあった頃のアメリカ大統領になる」
「立場は違うけれどね」
「そうしたものですね」
「うん、あの当時のアメリカではね」
「どうしてもです」
 それこそだ、アフリカ系の大統領が誕生してもだ。このこともかつてのアメリカでは有り得ないと言われ手いた。
「有り得ませんでした」
「カトリックやアイルランド系、そしてアフリカ系の大統領が出ても」
「ヒスパニック、アジア系、女性と」
「出ましたが」
 アメリカの歴史においてだ。
「しかしです」
「ネイティブだけは出なかった」
「彼等だけは」
 何故なら彼等はアメリカ人とみなされていなかったからだ、最初からアメリカにいたが当時のアメリカ人とはあくまで移民で来た者達だ、奴隷出身で差別されていてもアフリカ系もアメリカ人であったのだ。その証拠に大統領にも将軍にも閣僚にもなれたのだ。そしてもっと言えば騎兵隊やカウボーイ、ガンマンとして存在していた。
「そうでしたが」
「アウトカースト層もね」 
 マウリアにいる彼等もだ。
「それと同じだけね」
「可能性としては」
「有り得ない」
「そうですね」
「見えない壁ではなく」
「はっきり見えています」
「カーストとアウトカーストのそれは」
 まさにというのだ。
「住んでいる場所や使用施設が違うから」
「何から何まで」
「アパルトヘイトの様にね」
 かつての南アフリカでの人種隔離政策だ、この国では白人と黒人を分けていた。その政策と同じ状況がこれまでのマウリアにはあったのだ。
「バスもね」
「カースト用のバスがありまして」
「アウトカースト用のバスもある」
「どちらも乗れませんでした」
 アウトカーストの者がカーストのバスにだ、その逆もだ。
「絶対に」
「見えている壁だね」
「まさに」
「はっきりとね」
「それがありますので」
「果たしてジャバル主席はそうなれるか」
「難しいですね」
 大使館員はまた言った。
「非常に」
「どうしても」
「ですから」
「それで主席になれるのなら」
「彼は稀代の英傑ですね」
「そうなるね」 
 差別という壁を突破しただ。
「その時は」
「ガンジーをも越えた」
「そうなるかな」
 この時代でもマウリア最大の偉人とされている人物だ、非暴力不服従で知られている恐ろしい政治家であり戦略家でもある。
「その時は」
「ガンジーは独立を勝ち取りました」
 その非暴力不服従でだ。
「しかしです」
「そこから先に進もうとしたけれど」
「残念ですが」
 大使館員は心からこう思い言った。
「暗殺されてしまい」
「進めなかったね」
「はい、無念なことに」
「進めたかも知れないがね」
「インドとパキスタンの融和と」
「アウトカースト問題の解消」
「この二つを」
 インド独立からというのだ。 
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