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星河の覇皇

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第七十二部第二章 アウトカースト政府その二十

「まずです」
「ないね」
「はい、例も非常に少ないです」
「国会議員ではいるよ」
 二十代でそうなることはだ、このことはマウリアでもサハラでも同じである。
「それでも若いけれど」
「やはり国家元首は」
「いないね」
「三十代でもです」
「まずいない」
「それが二十代」
「相当なものだよ、あのヒトラーでも」 
 瞬く間に選挙を通じてのし上がった彼でもというのだ。
「政権の座に就いたのは四十代」
「それで相当若く時間もでしたね」
「短かったよ」
 その瞬く間にのし上がった時間もだ。
「僅か十数年だった」
「地方の泡沫政党からはじまり」
「それを大きな政党にいたからといって」
「あそこまで瞬く間になるのは」
「ヒトラー以上かも知れないね」
 大使は考える顔で述べた。
「あの主席殿は」
「ヒトラー以上の資質の持ち主ですか」
「謀略もね」
「ヒトラーは謀略も得意でした」
 表の政治力も天才と言えるものだった、ドイツの経済と治安、社会を完全に復活させ外交でも思い通りの利益を得てきた。恐ろしいまでの政治力があったことは確かだ。
「しかしです」
「謀略もね」
「天才的でした」
「そのヒトラーよりもね」
「表の政治力にですね」
「謀略もね」
「凄いものがある」
 大使館員の目も鋭くなった。
「そうなると」
「恐ろしいまでの人物だね」
「若しかしてです」
 ふとだ、大使館員は察して言った。
「ジャバル主席は」
「アウトカースト層の主席に収まらずだね」
「このマウリアの」
「そうかも知れないね」
 大使も否定せずに応えた。
「やっぱり」
「そうですか」
「そうした人物は往々にしてね」
「野心もですね」
「大きいからね」
 だからだというのだ。
「今の状況で満足せずに」
「マウリア全体のですね」
「主席の座を狙っているかも知れないね」
「アウトカースト層でありながら」
「それでもだよ」
「さらに上をですか」
「狙っているかも知れないね」
 大使は深く考える顔になってこの言葉を出した。
「それをね」
「連合なら普通のことですが」 
 優れた人物が大統領になることはだ、それは至極当然とされている。もっとも常に優秀な者が選ばれるとは限らないのも民主主義だ。
「しかしです」
「このサハラではね」
「そもそも高位のカーストでなければ」
「国家主席にはね」
「なれないです」
 カーストの存在が大きくだ。
「どうしても」
「しかしそれをね」
「あえて出来たならば」
「これは凄いことだよ」
「例えとしましては」
 大使館員はまた話した。 
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