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星河の覇皇

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第七十二部第二章 アウトカースト政府その十四

「ですから」
「どうしてもね」
「はい、マウリアについては」
「たまたま来た人間に行ってもらう」
「それだけですね」
「二十年いる人もいるしね」
「他の国の大使の人ですね」
「その人は引き籠もりに近いよ」 
 大使といってもだ。
「ずっと大使館兼自宅から出ないでね」
「大使同士のお食事会にもですか」
「出ないよ、勿論パーティーにもね」
「それでもですね」
「そう、本国は困っていないよ」 
 その大使の国もというのだ。
「別にね」
「そうしたものですね」
「マウリアとは経済摩擦も生じるけれど」
 各国単位でだ、そうなることも確かにある。
「しかしね」
「それでもですね」
「経済摩擦なら通産省だから」
「そちらの話になり」
「我々はね」
「やはりマウリアにいるだけですね」
「只の連絡係だよ」
 まさにそれだけの仕事だというのだ。
「いるだけでもいい」
「そんなものですね」
「結婚しようにも」
「私は独身です」
「私もだよ」
 少し苦笑いになってだ、大使は同居人と言ってもいい彼に話した。
「彼女いない歴二十六年だ」
「大使のお歳ですね」
「相手は欲しいがね」
「それでもですね」
「少なくともここにいる間は」
「私も同じく」
「そうした話はなさそうだね」
 大使館員に笑って話した。
「マウリアの女性はいても」
「色々とありますからね」
「事情がね」
「特に宗教的なものが」
「というか殆ど宗教だね」
「マウリアにおいては」
「ヒンズー教にしてもイスラム教にしても」
「ジャイナ教もあります」
 他にはゾロアスター教もある、ただ連合にあるそうした宗教とマウリアのものはまた別ものであると言っていい位に違う。
「その戒律の関係で」
「例えば私がヒンズー教徒の女の人と結婚しようとしますと」
「何かとお話が複雑ですね」
「そうそう、それだよ」
「カーストの問題があり」
「食べものでもね」
 この問題もあるというのだ。
「間違っても牛肉は食べられない」
「若し口にしますと」 
 マウリアで多くの神々が宿っているとされている聖なる生きものをだ。
「厄介ですし」
「そう、牛肉は殆ど売られていないしね」
「それこそ牛肉については」
「本国からの直輸入でね」
「運ばれて来る位で」
 そして冷凍技術で保存して解凍したうえで食べているのだ、それもマウリア国民ひいてはヒンズー教徒達に見付からない様にだ。
「公に食べられません」
「そこも難しいことだね」
「大使も牛肉はお好きですね」
「特にステーキがね」
「私もです」
 大使館員も言う。
「ステーキも好きで」
「この前ビーフシチューを食べていたね」
「大好物です」
 実際にというのだ。 
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