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星河の覇皇

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第七十二部第二章 アウトカースト政府その十三

「交番ではね」
「調べられることも」
「限られているよ」
 どうしてもだ、そうなってしまうというのだ。
「実際問題として」
「全くですね」
「しかもね」
「政府の方もそれでいいとのことなので」
「我々はいるだけだよ」
 マウリアにだ。
「簡単に言うと連絡員だね」
「その通りですね」
「このブラフマーにいても」
「することは特になく」
「情報収集をして」
 それも深く入っているものではなく新聞やネットのそれを読んで集めるだけだ。もっともこれだけでもわかることは大きい。
「本国の外務省に送る」
「朝にそうして」
「後はほぼ自由時間だよ」
「この大使館の中で」
「それだけだね」
「実は私はです」
 大使館員は大使に話した。
「大学を卒業して就職をしようと思っていまして」
「そしてだね」
「はい、公務員の試験を受けようと思っていました」
「そうして外務省に願書を出そうとしたら」
「ふとマウリアへの大使館員募集の話を聞きまして」
「給料がよくて」
「募集しました、資格も満たしていましたので」
 マウリア語の読み書きが出来る、これだけだった。
「こちらの面接に行きました」
「それで合格だね」
「大学ではマウリア語学科にいましたので」
「私はマウリア文学だったよ」
「それで大使もマウリア語がわかるので」
「大学院にいてね」 
 大使はこちらだった。
「学んだから」
「マウリア語もですね」
「わかるからね、マウリア留学の経験はないけれど」
 それでもというのだ。
「マウリアの事情も知っていたし」
「そこで募集のお話を聞いて」
「そう、面接に出たらね」
「面接に来ていたのは大使お一人でしたね」
「大使はね」
「館員もですよ」
 大使館員は自分のことをまた話した。
「面接に来たのは私一人で」
「それで一発採用で」
「ここにいますが」
「何というかね」
「島流しですね」
「全くだよ」
「どうにもこうにも」
「道理で給与がいい筈だよ」 
 苦笑いと共にだ、大使はこうも言った。
「マウリア大使館のスタッフはね」
「お家はありますが」
「それでもね」
「はい、何といいますか」
「いるだけでね」
「することはあまりなく」
「お金があってもね」
 高給は高給だ、だがそれでもなのだ。
「使うこともね」
「ないですね」
「道理で外務省が正規の人を送らない筈だ」
「正規の人は全部各国に行きますから」
 連合のだ、このことは連合内部の各国間で積極的に外交を行っている連合ならではのことである。この国の特色だ。 
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