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星河の覇皇

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第七十二部第二章 アウトカースト政府その十一

「問題に思えるわ」
「日本は流石になくなりましたが」
「ええ、制度は十九世紀でなくなったわ」
 明治維新からだ、それはなくなったのだ。
「穢多、非人という階級はね」
「そうなりましたね」
「偏見の解消には時間がかかったけれど」
 このことは事実だった、日本にとって残念なことに。
「そして被差別部落、同和とも呼ばれていたわ」
「被差別ですか」
「文字通りよね」
「はい、まさに」
「それだけ差別としてね」
「存在していたのですね」
「そうよ」
 まさにというのだ。
「制度としてなくなっても」
「穢れ思想があり」
「偏見として残っていてね」
 そしてとだ、カバリエは言葉を続けた。
「解放運動等も起こったわ」
「その被差別部落の」
「解放というか地位の向上、偏見の打破ね」
「そうしたもののですね」
「戦いがあったのよ」
 彼等が健全な日本人として生きる為のそれがというのだ。
「彼等についても」
「被差別部落出身者自身の」
「文学の題材にもなっていたわ」
 島崎藤村の破戒である、ただしこの作品は問題の解決には至っていないのではないかという指摘も存在している。
「当時はね」
「当時ですか」
「ええ、当時はね」
 そうなっていたというのだ。
「問題として存在していたからこそ」
「深刻だったのね」
「そして長い時間をかけて」
「日本は解消した」
「そうよ、そしてマウリアも」
「これから長い時間をかけて」
「解消出来ればいいわね」
「出来れば、ですか」
「失敗したから除外されたのよ」
 アウトカースト層はこれまでだ。
「そうなっていたのよ」
「ああして」
「けれどチャレンジは何度も出来るわ」
 政治におけるそれはというのだ。
「一度失敗してもね」
「再びですね」
「出来るわ」
 チャレンジ、それをというのだ。
「だからね」
「彼等についても」
「挑戦するのよ」
 アウトカースト層への偏見の解消、それをというのだ。
「再びね」
「是非勝って欲しいですね」
「そう思うわね」
「はい、偏見に」
 スタッフはカバリエに強い声で答えた。
「私としましては」
「私もそう思うわ」
「外相もですね」
「そうした戦いはね」
「勝ってこそですね」
「人は前に進めるのよ」
 差別の解消即ち人間の英知の進歩だというのだ、この考え方はこの時代においても存在しているものなのだ。
「そうしてね」
「では」
「そうよ、マウリアもね」
「外相もですね」
「そう願っているわ」
 こうスタッフに話した。 
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