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星河の覇皇

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第七十二部第二章 アウトカースト政府その八

「難民問題があるわね」
「サハラからの」
「そしてマウリアからの移住者にも」
「やはり偏見はありますね」
「深刻な人権問題には至っていないけれど」
「職業等での差別は」
「否定出来ないわね」
 カバリエはスタッフに目をやって問うた。
「そうね」
「はい、どうしても」
「そういうことよ、差別のない国はね」
「ないですね」
「人は因果なもので差別からは逃れられない生きものでもあるのよ」
 何処か諦めか達観を見せてだ、カバリエは言った。
「どうしてもね」
「その通りですね」
「ええ、差別を否定しながらも」
「差別をしてしまいますね」
「対抗心や未知への恐れ、既得権益の喪失への不安とね」
「理由は色々ですね」
「違うものへの不信や違和感もあるわ」
 そうした感情によるものだというのだ。
「他の国から見ればどうでもいいことでも」
「その国では深刻な差別にですね」
「なっていたりするわ」
「連合も然りで」
「マウリアでもよ」
 この国でもというのだ。
「どうしてもね」
「そうなりますね」
「私達から見ればね」
 カバリエはそのマウリアのアウトカースト層のことを話した。
「何でもないわね」
「はい、全く以て」
 スタッフもこう答えた。
「排泄物処理業もです」
「連合ではあってね」
「しっかりとした産業になっています」
「その通りね」
「それではです」
「全く以て」
「何でもないです」
 カバリエにはっきりと言った。
「確かに人気のない職業ですが」
「不潔で重労働で」
「しかし社会に必要な職業で」
「そしてね」
「給料自体はいいです」 
 だから生活に困った学生やすぐにまとまった金が欲しい者が入る。そして必死に金を稼いでいるのである。
「そして産業にもです」
「しっかりとね」
「なっています」
 現実として、というのだ。
「そうなっています」
「その通りね」
「はい、しかしですね」
「マウリアでは違うのよ」
「カーストの外に置かれ」
「穢れとして忌まれているわ」
「やはりそうなりますね」 
 スタッフもカバリエに応えて述べた。
「あの国においては」
「穢れ信仰はマウリアでも強いわ」
 日本と同じ様にだ。
「だからこそね」
「否定されますか」
「そう、本当にね」
 実際にというのだ。
「だから二十年ではね」
「とても消えない」
「だから再び除外されたのよ」
 アウトカースト層、彼等もというのだ。 
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