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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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童歌

<イシス>

「♪まん丸ボタンは不思議なボタン。まん丸ボタンで扉が開く。東の西から西の東へ。西の西から東の東。♪」

アルル達はイシス城内を歩きながら、先程子供達に教わった童歌を確認する様に歌っている。
イシスの女王に…レイチェルにピラミッドの仕掛けの秘密を訪ねた所、『子供達の童歌にヒントが隠されていると聞きます』と、ヒントのヒントを賜った。
「♪まん丸ボタンは不思議なボタン。まん丸ボタンで扉が開く。東の西から西の東へ。西の西から東の東。♪」

「変な歌…リュカさんが歌う歌より、変な歌!」
「失礼だなウルフ君!僕の歌う歌は名曲揃いなんだぞ!」
「私、リュカさんの歌は大好きですよ♡」
「そんな事より、ホンマにピラミッドと関係あんの?あの女、自分も知らんからって適当な事言うたんじゃ…それとも、結婚してくれへんリュカはんに嫌がらせか!」
「エコナ…お願いだから、せめて城内では不穏な発言は控えて!」
どうもエコナはレイチェルに対して、あまり良くない感情を持っているらしく、ついつい発言が不穏な物になっている様だ。


一行が不毛な会話を続けながらイシス城の入口エントランスに差し掛かると、其処には3人の屈強な男が待ち構えていた。
町中でレイチェルを強引に連れ去ろうとしていた男達だ。(実際は女王直属の護衛官である)

「………?…あの…何かご用ですか?」
訝しげにアルルが訪ねる。
「お前等に用は無い!そっちの紫のターバンの男に用がある!」
「僕には無い!」
即答するリュカ…

「ふ、ふざけるな!!我々と正式に勝負しろ!!」
3人それぞれ武器を構え、殺気を漲らせている。
「何言ってんの?君達既に負けたじゃん!あの時幼気な少女を守ると言う名目で、殺しても良かったんだよ。でも君達が悪質なナンパ野郎じゃないのは気付いてたからさ、命までは取らなかったんだよ」
「黙れ!あの時は町中故、全力を出し渋った結果だ!」

「はぁ?さてはお前等バカだろう!女王様を守ろうとする特務部隊が、全力を出さないで負けてどうする!僕が女王の命を狙ってたら、レイチェルは既に死んでたんだぞ!それにお前等、町中でメラミ使ってたじゃん!大事だよ、町中でメラミって!」
リュカの正論という侮辱に、耐えられなくなった1人が、もの凄い勢いでリュカに襲いかかる!

しかしリュカはその男の顔面にカウンターで拳をめり込ませる…
その男は、襲いかかった時の倍の勢いで仲間の2人の元へ、弾き飛ばされる!
「あれぇ~…今度は城内だった故に全力を出し渋ったって言っちゃうぅ~?おいおい…何時になったら全力を出せるんだよ…女王が死んだ後か?イシスが滅んだ後か?世界が無くなった後か?おせーんだよ、それじゃ!」
リュカは3人に唾を吐き付けイシス城を出て行く…
アルル達もリュカに襲いかかった3人を、不安そうに意識しながらリュカに続く…
男達は力無くその場にへたり込むしか出来なかった…




アルル達はイシス城を出ると、城下にある武器屋へと訪れる。
先のピラミッド探索で、ボロボロになってしまった武具を修繕に出していた。
それを引取に来たのだ。

「おじさ~ん!出来てるかしら?」
「おうよ!キレイに修繕しておいたぜ!しかし、どんだけ戦闘すればこんなにボロボロになるんだか…」
「それ程、激戦を潜り抜けてきたちゅー事や!」
リュカとウルフ以外がそれぞれ武具を受け取る。

「しかしよぉ…女の子が武具をボロボロにする程戦ってたのに、男共は何やってたんだ!?安全な所で高みの見物か?」
詳しく状況を知らない武器屋の店主が、推測からリュカとウルフを批判する。
「あはははは…僕、戦うの嫌いなの!」
「かー!情けねー男だ!」

「ちゃうね…むぐぅ!」
店主に対し異論を言おうとしたエコナの口を手で塞ぎ、エコナの懐から黄金の爪を取り出す。
「おいさん、これ幾らで買ってくれる?」
「むー!むーむー!!…ぱはっ…そ、それはウチんや!!勝手に売らんといて!」
「でも気にならない?あんな思いをして手に入れた物が幾らするのか?」

「……………………おっちゃん…幾らや?」
どうやらエコナも気になる様だ…
「う~ん…凄い品だが…6000ゴールドだな…」
「た、たったの6000?アホくさ、絶対に売らんで!」
「でもどうすんだよ!それ持ってピラミッドへ入ったら、またモンスターまみれだぞ!売っちまえよ!6000ゴールドでも無いよりマシだろ!」
ウルフが苦々しくエコナに言い放つ。

「うん。僕が預かっておくよ。ピラミッドに持って行かなければ大丈夫だろ!」
「「「「はぁ?」」」」
4人の怪訝そうな反応を無視して、黄金の爪を懐にしまい店を出て行くリュカ。
店に取り残される4人を気にせず、宿屋へと戻るリュカを慌てて追うアルル達…



「なぁ…どういう事なんや?リュカはんも一緒にピラミッドへ行くんやろ?せやったら誰が持ってても一緒やんか!」
宿屋へ戻るとみんなリュカの部屋に集まり、先程の続きを始め出す。

「もう…あそこに行きたくないんだ…僕。…だから留守番をしてるよ!」
「何言うてんねん!リュカはんが来てくれんと、ウチら死んでまうかもしれんやんか!」
「そうだよ!この間も、魔法の使えない地下から脱出出来たのも、リュカさんが居てくれたからなんだよ!居なかったら俺達死んでたよ!」

「うん、それそれ!君達は僕が居るから、敵に襲われても、トラップが発動しても大丈夫と思ってるでしょ…僕に依存しまくりでしょ!」
「そ、そんな事あらへんで!そりゃ、リュカはんが居れば安心感があるけど、リュカはんは相当危なくならないと、戦ってくれへんやんか!せやから自分たちで何とかしようと、何時も思っとるで!」

「そうかなぁ……?…気を付けろって言ったのに、気にせず宝箱を開けたじゃん!偶然2個目がトラップだったから良かったけど、1個目だったら僕間に合わなかったからね。それにボタンの事もそうだよね!一旦帰ろうって言ったのに、偶然何とかなるかもって…僕が居なくても同じ事してたぁ?してないよねぇ…」
エコナ・ハツキ・ウルフは何も言えなくなる…

「確かに私達はリュカさんに依存してました…でも私達は弱いんです、リュカさんが頼りなんです!」
「アルル…君達は弱くないよ。ピラミッド内であれば、モンスター如きには負けないよ。下手にトラップを発動させなければ…ね!」
「そ、そんな…偶然トラップが発動したらどうすんだよ!」
ウルフはリュカを当てに出来ない事に不安を感じ、泣き言を言い始める。
「そうならない様に気を付けるのが冒険だよウルフ!僕は何時までも、君らと一緒に旅が出来るとは限らないんだ。自分たちで何とかするのも必要だよ」
「「「……………………」」」

リュカはピラミッドへの同行を、頑なに拒み続ける…
「1ヶ月待っても帰って来なければ、みんなは死んだものと考えるからね。そしたら僕は、アリアハンにでも戻って、ミカエルさんとイチャイチャ過ごすよ」
「な!死ぬわけないだろ!トラップを発動させなければいいんだ!簡単じゃねーか!」
アルル達は初めて、リュカという保険を携えず冒険をする事となった。
今回の事はアルル達の成長に寄与するのだろうか?
そして一人残るリュカは、どの様なトラブルに巻き込まれるのであろうか…



 
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