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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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狡猾な罠

<ピラミッド>

「な、なぁ…やっぱりリュカさんが居ないと…不安だよなぁ…」
ウルフが必要以上に警戒しながらピラミッド内を歩いている。
彼だけではない、アルルもハツキもエコナですら、緊張した面持ちでダンジョン内を進んで行く。
前回来た時にトラップは無い事を確認した場所ですら、慎重に慎重を重ねて警戒をしている。
アルルは思う。
《何でリュカさんは何時も平然として居られたの?1度来た事がある所なのに、凄く怖い!どうしてリュカさんは初めて訪れる場所でも、平気なの?》
思いの外、リュカへの依存心が大きかった事に、後悔をしているアルル達…

たいして戦闘は行わなかったけど恐怖と後悔の中、どうにか魔法の鍵が安置されてるであろう石戸の前まで、再び訪れたアルル達。
〈♪まん丸ボタンは不思議なボタン。まん丸ボタンで扉が開く。東の西から西の東へ。西の西から東の東。♪〉
イシス城の子供達が歌っていた童歌を思い出し、ボタンの前へと移動する…




<イシス>

一方そのころイシスに残ったリュカは…
無理矢理レイチェルに呼び出され、女王の自室で甘美で大人な一時をおくっていた。
「ねぇ、リュカ…私と結婚できなくても、愛人になれなくても、イシスに居る間は、私の恋人でいてくれるでしょ!?」
「それは構わないけどさぁ…僕は城に居たくないよ!さっきの見たでしょ…大臣さん達、一斉に僕の事を睨むんだよ!視線で人を殺せるのなら、僕は惨殺されてたよ」
大臣達だけではない…下級兵士もリュカの姿を見るなり、武器を構えて睨み続ける有様だった。
アイドル的な女王を寝取った恨みは計り知れない。
「あはははは。私が自由に逢いに行ければ良いんだけど…仕事が忙しくってね!」
「じゃ、忙しい女王様のお邪魔をしちゃ悪いから、僕はこの辺で帰るとするよ」
リュカはベットから起きあがり、自分の服に手をかけると、
「あぁん!そんな事言わずに、もう一回だけシよ?ねぇ~、もう一回だけ…ね!?」
と抱き付かれ、そのまま大人な世界へと旅だって行く…
男ってヤツは…



<ピラミッド>

(ゴゴゴゴゴゴ………)
重厚な石戸が開き、アルル達は奥に奉られてある魔法の鍵が眼前にある。
「やった!やっぱりあの童歌は、ボタンを押す順番を歌ってたんだ!」
「リュカはんが居なくても、何とかなるもんやな!」
「エコナさん!油断は禁物ですよ!」
「そうね…魔法の鍵を手にした途端、トラップが発動するかもしれないしね!用心しましょ!」
アルル達は四方を警戒しながら、魔法の鍵の元まで慎重に進んで行く。
そして魔法の鍵を持ち上げた途端、先程苦労して開けた石戸が突然閉じてしまった!

「あ!?」
「な、何や!?閉じこめられてもうたのか?」
皆、慌てて石戸へと駆け寄る。
しかし重厚な石戸を人力で開ける事など出来ず、絶望感にさいなまれる。

「みんな落ち着いて!こう言う時こそ冷静に他の出口を探しましょ!」
「あの~………」
アルルがリーダーらしくみんなを奮起させたが、ハツキが間の抜けた声で水を差す。
「…何?どうかしたの?」
「あのね…あそこに扉があるんだけど…出口かな…?」
ハツキが指さす先…部屋の反対方向には、やはり頑丈そうな鉄の扉が備え付けられている。

「えらい!さすがハツキ!良く見つけたな!」
「みんな魔法の鍵しか見てなかったんですか?この部屋に入って正面ですよ!見つけるとか、そう言うレベルじゃないと思います」
皆がハツキの言葉に顔を逸らし、石戸の反対側の扉の前に早足で集まる。
そして扉のノブを回し開けようとするが、鍵がかかってて開かない。

「何や!結局閉じこめられてるやん!ぬか喜びやん!」
「エコナ落ち着いて!冷静に対処しましょ!焦ったら終わりよ!」
再度叫び出すエコナをアルルが宥めようと声を荒げる!
「なぁ…今手に入れた魔法の鍵を使ってみようぜ!」
今度はウルフが冷静に事態を見定め、有効な手立てを提示する。

「あぁ…そっか!」
「頼むよリーダー!一番パニクってんじゃないの?」
「せやで!リーダーが落ち着いて対処せなあかんやろ!リュカはんに頼りすぎちゃうか?しっかりしてやぁ」
「な…!エコナがそう言う事言わないでよ!貴女が一々金切り声をあげるから、思わず焦っちゃうんでしょ!」
アルルとエコナで口論が始まる!
「落ち着けよ、2人とも!ケンカしてる場合じゃないだろ!エコナも騒ぎすぎだし、アルルも過敏に反応しすぎだよ!リュカさんは何時も冷静だったろ…あれを見習おうよ!」
流石は男の子!最年少ではあるが、皆を纏めようと頑張っている!




<イシス>

そして一方のリュカは、レイチェルと共に豪華なディナーを楽しんでいる。
「う~ん…おいしー!」
レイチェルはリュカに寄り添い、食事を口に運び感嘆の声を上げる。
「大袈裟だな…何時も食べてるんだろ!?」
「そりゃ何時もと変わらない食事だけど、何時もは1人で食べるか、私に気を使っている人達と食べるかで、美味しいと感じた事がないの!」
そう言いながらリュカに口移しで料理を振る舞うレイチェル。

「そうだ!ねぇリュカ…凄く美味しいワインがあるのよ!一緒に飲も!」
「あ~…酒は…遠慮する」
「あら?飲めないの?そっちも凄そうに見えるけど…」
「う~ん…飲めなくは…ないんだけど…好きじゃないから、お酒…良い思い出もないしね!」
こうして2人の夜は更けて行く…
アルル達とは対照的に。




<ピラミッド>

新たに入手した魔法の鍵を使い、ピラミッド内を更に進むアルル達は、あからさまに奇妙な部屋に侵入していた。
其処には多数の宝箱と、更に多数の棺桶が整然と並ぶ空間。
部屋の奥には上階へ登る階段があり、アルルは迷わず階段へと移動する。

「な、なぁ…一個くらい開けてもええんちゃう?」
「はぁ?バカなの?どう見たって罠じゃない!」
「確かにあからさまに罠や!でもな、罠を仕掛けるのに、こないあからさまなのも変ちゃうか!?第一この部屋に入る事の出来る人間は居ないはずや!そんな所に罠を仕掛けて何になるんや!?それに、ごっついお宝があるかもしれへんやろ…伝説の武器とかが…」
「う、う~ん…」
悩むアルル。

「何、悩んでんだよ!罠に決まってんだろ!早く行こうぜ!」
ウルフは先を急がせる。
「でも確かに、こんな所に罠を仕掛ける意味が分かりませんよね…それに凄いアイテムがあったら嬉しいですよね!」
ハツキも宝箱を開けたい様だ。

実はアルルも宝箱を開けたいのだ…でもトラップが怖い…何より先日リュカに言われた事が、脳裏にこびりついている…
『僕が居なくても町まで帰れる様にしないと…』
今、パーティーの命を握っているのはアルルなのだ!
アルルの判断一つで、生死が決まるかもしれないのだ!

もしリュカだったらどうするだろうか…しかし、それは明白だ!リュカだったら宝箱には手を付けない!
それはリュカにとって、宝箱の中身は必要ない物だからだ!
リュカはバラモスを倒す事への執着はない。
何故なら、この世界の住人ではないから…

しかしアルルにとっては重大な事だ!
少しでも強い武具を手に入れ、少しでも早くバラモスを倒さなければ…
自分と家族の住むこの世界に、少しでも早く平和を訪れさせなければ…
アルルは悩む!
アルルは迷う!
世界の為に、仲間の為に、そして自分の為にはどうすれば良いのか…
果たしてアルルはどうするのか…



 
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