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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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王家の秘宝

<ピラミッド>

珍しくリュカを先頭に隊列を組む一行。
モンスターに発見されぬ様、物音を立てない様に歩く………しかし、足下には大量の白骨体が散乱し、実質音をさせずに歩く事は出来ない。

「しくじったな…」
不意のリュカの呟きがみんなを不安にさせる。
「ど、どうしたんですか?何をしくじったんですか!?」
アルルを担ぎリュカの直ぐ後ろを歩くウルフが、震える声で訪ねた。
「足下を見ろ…白骨体が増えている」

「そ、それが…?」
「つまり…こっちで死ぬ人が多いって事だよ!」
「じゃ、じゃぁ…今からでも引き返しませんか?」
「何言うねん!出口に近付いてるから、トラップが発動してるのかも知れへんやろ!」
「そうだね…ウロチョロしても危険だ…取り敢えずは進んでみるしかないね」
そしてリュカは進み出す。
トラップが何時発動しても対応できる様に、慎重に…ゆっくりと…


一行は行き止まりの部屋で立ち尽くしている…其処には大きな石棺しかない。
「ちぃっ!こっちじゃなかったか!」
リュカが踵を返し、元来た道を戻ろうとすると、エコナが声をあげ皆を止める。
「なぁ!あの石棺…怪しくないか!?もしかして出口に繋がる通路になってるかも!」
「何言ってんだよ!俺達は地下に落ちたんだぞ!更に地下へ潜ってどうすんだよ!」
「アホか!上へ向かうだけが、地上への道とは限らへん!一旦地下へ潜る事も必要かもしれへんやん!」
そう言うとエコナは慎重にだが石棺へと近付き、石蓋に手をかける。
しかしエコナ一人の力では動かない…見かねたハツキも一緒に押し始める。
リュカも『通路は無い』と言い切れず、ただ黙って見てるしか出来なかった。

(ズッズズズズズズ…………ゴドン!)
石蓋を押し開け中を見ると、其処には2体のミイラがあるだけで通路等は存在しない。
「ただの石棺だ…引き返そ!」
「待って下さい!何か変じゃないですか…このミイラ!?」
トラップの発動しそうな宝箱や棺などには、なるべく触りたくない…触ってほしくないリュカは、石棺に出口への切っ掛けが確認できなかったので、サッサと来た道を戻ろうとしたが、エコナが石棺の中に違和感を感じた為、皆を呼び止め2体のミイラを調べ始める。

「ねぇ…何が変なの?棺に死体が入ってたって、変じゃないよぉ!早く出口探そうよぉ!」
「見て下さい、このミイラ…1体はキレイに埋葬されてあるのに、もう1体は雑に放り込んだ様に見えます!」
「ほんまやねぇ…普通、棺に入ってる遺体って仰向けでキレイに整ってるはずや…でもこの上に乗っかてるミイラは横向きや…しかも背中を丸めてる………ん!?何か抱き抱えてるで!」
エコナは雑に埋葬されてるミイラの腕を、無理矢理こじ開けて抱き抱えている物を掴み出す!
《何であの娘ミイラに平気で触れるの?俺、ヤダなぁ…》

「おぉぉぉ!見てみぃ!ごっついお宝を抱えてるでコイツ!」
そう言うとミイラが抱き抱えていた『黄金の爪』をリュカ達に見せつけはしゃぎ出す。
すると何処からともなく不思議な声が聞こえてきた。
『黄金の爪を奪う者に災いあれ!!』

「な、何や!?何処から聞こえんの!?」
みんなが周囲を見回していると、突然石棺の中のミイラがエコナの腕を掴んできた!
「ぎゃー!!!」
慌てたエコナはミイラの手をがむしゃらに払いのけ、半泣きでリュカの後ろに隠れる。
しかしミイラは執拗にエコナを追いかけてきた!

「ふん!」
しかしリュカが鋼の剣で細切れにし、ミイラはその場に崩れ去る。
「何でウチを狙うねん!絶世の美少女やからか?」
「………その黄金の爪が目当てじゃないの?返したら?」
「何言うてんねん!ピラミッド内で見つけたアイテムは、ウチ等の自由にしてええねん!女王様のお許しがあったやん!だからこのお宝は、ウチのや!」
どうやらエコナは黄金の爪を手放すつもりは無い様だ。

(ゴソゴソ………)
「ん!?」
行き止まりであるはずの石棺の部屋の奥から、何やら蠢く影が………
「な、何でしょうか?」
奥から現れたのは、火炎ムカデや大王ガマといったモンスター達だった!
しかも途方もない数が…

「げ!!さすがにヤバいって!逃げるぞ!」
リュカ達は一斉に元来た道を走り出す!
しかし前からもミイラ男やマミーが大量に襲いかかってくる!
「くっそ!」
前方から襲い来る敵をリュカが薙ぎ払い、後方から追い縋る敵をエコナとハツキが連携して撃退する!
ウルフは気絶しているアルルを背負い、敵の攻撃を避けまくる!心なしか動きがリュカに似てきた様な………

「なぁ、エコナ!」
「な、何やぁ!」
「コイツ等の目当てって、その黄金の爪じゃね?捨てちゃえよそんなの!」
「イヤや!!!!これはウチんや!」
その間もモンスターは絶え間なく襲いかかってくる!

さすがにエコナとハツキは押され気味だ…しかしリュカには疲れが見えない!
既に100体以上ものモンスターを倒してるのに、顔色も変えずに前方の敵を倒し進み続けてる!
刃こぼれの生じてしまった鋼の剣をアルルに返し、ドラゴンの杖でミイラ男やマミーを倒しまくる!
後方からの敵に押し潰されないでいるのは、リュカが前方の敵を駆逐し、逃げ道を作り出しているお陰である。
「おい!逃げ道は僕が作るから、遅れるなよ!」
ウルフ達は必死でリュカについて行く!




<イシス>

「…うっ…こ、ここは…?」
イシスの宿屋でアルルは目を覚ました。
「おはよ。足の具合はどう?」
リュカは優しくアルルの足を気遣う。

アルルは慌てて折れてた足を触り確認する………だが、痛みはなく骨折も完治している。
「…私…どうなったの?」
「え~…憶えてないのぉ…結構大変だったんだよ!」
そうは言うが、リュカは笑顔でアルルに説明してくれた。



「………それでみんな疲れ切って寝てるのね…」
部屋の中を見渡すと、ウルフ達が薄汚れた恰好のまま、床やソファーにだらしなく眠っている。

「ごめんなさい…迷惑かけちゃったね…」
「うん。大迷惑だよ」
リュカは笑いながらアルルの頭を撫でる。

しかし急に真面目な表情になり、アルルに苦言を呈す。
「アルル!あんまり僕を当てにした作戦を立てないでくれ!確かに僕は年長者の為、君達よりは多少強い…」
イヤ、多少ではないだろう…アルルはそう思ったが、あえて口には出さなかった。

「でも僕はこの世界の人間じゃない!元の世界に帰る術が見つかれば、直ぐにでも帰るだろう…もし、あのピラミッド内にそんな装置があったのなら、僕は直ぐさま帰るだろう。僕の事を当てにして、ダンジョンの奥に進んだ場合、急に僕が居なくなったらどうする?僕が居なくても町まで帰れる様にしないと…」
アルルはこの時初めて分かった…リュカが戦闘をしないのは、自分たちがリュカに依存しない為だと…

「焦っちゃダメだよ。一旦退く事も大事だよ。アルルは勇者なんだから、みんなを導かないと…」
そしてリュカは自室へと引き上げた。
床等で泥の様に眠る仲間を…ボロボロに薄汚れるまで戦った仲間を見て、涙を流すアルル…
自分が彼等の命を握っている事に気付き、責任の大きさに涙が止まらない…
アルルは思う…
リュカに出会ってなければ、アリアハン大陸で命を失っていただろうと…



 
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