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レーヴァティン

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第百十七話 西の端へその八

「中央に確かな軍隊があるとそれだけでも強いしな」
「いざって時にそこから戦力を送れるしな」
「ええけどな」
「その大軍を速やかに送れる」
 その様にというのだ。
「そういう風にしておくんや」
「それが大事だな」
「ほんまにな」
「それが、だよな」
「叛乱を防ぐことにもなるわ」
「そうだよな、じゃあな」
「陸路や航路もな」 
 その両方をというのだ。
「どんどんな」
「整えていくか」
「川も船を使ったら」
「ああ、大軍をすぐに送れるしな」
「そうしていこな、ただ」
「ただ?何だよ」
「移動の術と空船もな」
 美奈代はこの二つの話もした。
「しっかりとな」
「ああ、そっちもな」
「使うべきやろ」
「そうだよな、本当に」
 久志は美奈代のその言葉にも頷いて応えた。
「移動の術で行き来出来る人間は限られていてもな」
「それで瞬時に行き来出来るからな」
「密偵とか斥候に最適だからな」
「絶対にな」
 それはというのだ。
「しっかりとな」
「使っていこうな」
「空船もな」
「空からすぐに行き来出来てな」
「こっちは凄い金かかるけれどな」
 空船一隻の建造でかなりの予算がかかる、それで東西の浮島を行き来する空船の数も少なく行き来も限られているのだ。
 だからだ、久志も言うのだった。
「やっぱりな」
「そっちもな」
「用意しておくか」
「叛乱起こされたらかなんしな」
「それじゃあな」
「今度はそれも政やで」
「そのこと頭に入れておくな」
 確かな声でだ、久志も答えた。彼はそうした話をしつつ今はカルタゴから浮島南岸の西の果てを目指した。
 その間戦闘らしい戦闘はなく彼が率いる軍は自ら降る諸勢力の街を蛙跳びの様に進んでいってだった。
 そのうえで西の果てに着いた、その西の果てはというと。
 高い山々になっていて浮島の果てに進めなくなっていた、久志はそうなっているのを見てこんなことを言った。
「ここを越えて先に行ったらな」
「うん、もう宙でね」
 淳二が久志に答えた。
「真っ逆さまに落ちてね」
「お陀仏だな」
「そうなるよ、この絶壁のお陰で」
「人が落ちなくてな」
 浮島から宙にだ。
「湖の水もな」
「落ちないんだよ、ただ浮島の水は島にいる生きものがどんどん使って」
「人もそうだしな」
「その都度なくなっていって」
「雨や雪が降ってな」
「それで補充されているから」
「減らないし濁りもしない」
 久志は自分から言った。
「そうなっているんだな」
「そうだよ、東の浮島もね」
「東の浮島の方が湖の面積でかかったな」
「そうみたいだね、浮島の中に幾つかの島があるけれど」
 大陸ではなくだ、西の浮島の中には大陸があるが東の浮島では四つの大きな島と多くの小さな島が存在していて湖に囲まれているのだ。 
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