星河の覇皇
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第七十一部第五章 組み入れその二十八
「知らなかった、だが君はだな」
「それを応用してみました」
「そしてか」
「一気に掃討しましたが」
「成功したな」
「予想以上に」
八条のそれを超えてというのだ。
「通信を周到に使ったせいでしょう」
「連絡だな」
「このことではポンペイウスの時代の比ではありません」
「その通りだな」
「はい、当時と現代では」
「むしろ紀元前にそうした作戦を立てられたポンペイウスが凄いな」
「はい」
八条も思うことだった。
「まさに」
「名将と言われるだけはあるな」
「伊達にカエサルと争えた訳ではないですね」
「全くだな」
「歴史ではどうしても敗者としての評価ですが」
「その評価で甘く見てはならないか」
「彼もまた」
こうした人物は多い、例えば今川義元だ。この人物も織田信長に敗れ低評価になりやすいが治世は見事であり戦もそれなりに戦えていて武田信玄、北条氏康といった傑物達とも決して引けを取ってはいなかった。
「そうだと思います」
「そうなのだな」
「はい、だからこそです」
「君も使ったか」
「彼のやり方を」
「そういうことだな」
「これからもです」
今回だけでなく、というのだ。
「踏襲していくべきかと思います」
「戦術戦略のマニュアルの中に入れていくべきか」
「海賊やテロリストの掃討の際には」
「同時に一気に攻撃を仕掛けるか」
「しかも互いに連絡を取り合い相手の通信は妨害し」
そうして相手にはこちらの動きを知らせずにだ。
「相手の目と耳も塞いで」
「当然事前の偵察も徹底してだな」
「相手にはさらに粗悪な物資を売って弱体化も測る」
「それは君は好まないな」
「はい、実は」
謀略を好まない八条らしい考えだ、もっと言えば内相である彼もだ。二人は正統派の政治家であるからだ。謀略は好まないのだ。
「ですが」
「効果があればだな」
「やはりです」
「使うべきか」
「そう思います」
もっと言えば採用せざるを得ないのだ。
「ですから」
「これからもだな」
「マニュアルとして存在すべきかと思います」
「そうなるか」
「今後もまた」
「その後の治安確立もだな」
「そちらもです」
当然とだ、八条は答えた。
「そしてです」
「さらにか」
「これは国防省の政策ではないですが」
こう前置きしてだ、八条はさらに話した。
「その後の官公庁の進出及び統治システムの進出もです」
「今回の流れはか」
「順調でしたので」
これまでよりもというのだ。
「マニュアルとして採用すべきかと」
「わかった、ではな」
「そうして頂けますか」
「閣議にかけよう」
「それでは」
「国防省でのことは君が決めればいい」
そちらはというのだ。
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