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星河の覇皇

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第七十一部第五章 組み入れその二十七

「連合でもありました」
「カルト教団等がな」
「はい、そうしてきましたので」
「それでだな」
「そこも注意しようと考えています」 
 まさにというのだ。
「私も」
「それもこれまで通りだな」
「そしてこれまで以上です」
 こうもなるというのだ。
「警戒をしてです」
「ことにあたるか」
「そう考えています」
「今回はテロリストは掃討出来たが」
「討ち漏らしがあれば」
 その時はというのだ。
「自暴自棄になり」
「何をするかわからないな」
「それが危険です」
「そもそも刹那的な相手だ」
「はい、テロリストというものは」
「自分の考えだけを絶対と考える」
 彼等のそうした性質をだ、キロモトは指摘した。
「他人の考えは認めずな」
「自己を絶対の正義と置きますね」
「だからこそ誰を巻き込んでも気にせずにテロを行う」
「ですから」
「窮地に陥るとすぐに自暴自棄になる」
「そしてより非道な行動に走ります」
「だからこそ戦闘になればな」
 テロリスト達とのそれはだ。
「徹底的に掃討しなければならないな」
「それこそ一人残らず殲滅するまでに」
「実際に連合はそうしてきた」
「今回もでした」
「むしろこれまで以上にだな」
「そうした結果です」
 残ったテロリスト達はというのだ。
「いませんでした」
「敵の拠点を全て急襲してだったな」
「はい、まさに」
「あれが効を奏したか」
「実はポンペイウスの戦略を参考にしました」
 八条はキロモトに話した。
「古代ローマの名将のそれを」
「あのカエサルとローマの覇権を争ったか」
「はい、その人物のです」
 カエサルとは共に三頭政治も行っている、軍事的才能に恵まれた人物でありカエサルとは個人としては険悪でなかったという。
「海賊討伐を参考にしました」
「そうだったのか」
「当時地中海は海賊達が跳梁跋扈していました」
 経済的に繁栄していればそこが海ならば商船を狙って海賊達が出る、それは古の時代ならばより治安が悪く顕著となることだ。
「その彼等を一斉に征伐する為の作戦でした」
「地中海中のか」
「まず地中海全てを十二の海域に分け」
「そのうえでか」
「全ての海域で同時に作戦を開始しました」
 それがポンペイウスの作戦だったのだ。
「そしてです」
「海賊達が逃げることをか」
「避けてです」
「一気に掃討したのか」
「そうしました」
「古代でそれ出来たとはな」
 キロモトも唸って言った。
「私もポンペイウスは知っていたが」
「それでもでしたか」
「陸戦でのことは知っていた」
 スッラの配下として若くしてローマの宿将となりカエサルとの戦いでも名将ぶりを発揮していたそれをだ。
「しかし海でもだったのだな」
「彼は名将であり」
「その彼の作戦を参考にしたのか」
「そうでした」
「成程な、私も軍人だったが」
 キロモトは己の若き日の不勉強を恥じた、そしてあらためて八条の知識に惚れ込んだ。よくこの男を国防長官にしたとも思った。 
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