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星河の覇皇

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第七十一部第五章 組み入れその二十三

「一般市民を積極的に戦いに巻き込む戦い方はです」
「しないのだったな、日本は」
「はい」
 その通りだというのだ。
「日本軍は」
「その伝統が君の中にもあり、か」
「やはり敵国の市民であっても」
「市民は市民か」
「そう思いますので」
「だからだな」
「一切攻撃はしませんでした」
 巻き込むこともというのだ。
「軍規軍律にも定めました」
「そうだったな」
「若しもです」
 それこそというのだ。
「軍規軍律に定めていませんと」
「そこにないならばな」
「行っていいということになります」
「一般市民への攻撃もな」
「ですから」
「最初から明記したのか」
「そうでした、そしてそれが」
 まさにというのだ。
「よかったと思います」
「エウロパ戦役でそうした事態がなかった」
「ですから」
「あの戦役でのエウロパ市民の犠牲は殆どなかった」
 それこそである。
「民間の産業やインフラもな」
「攻撃を禁じていました」
「軍規軍律のレベルで」
「敵国といえど市民か」
「一般市民への攻撃を行うと」
 難しい顔でだ、八条は述べた。
「相手の国力を徹底的に破壊出来ますが」
「人口は国力だ」
「その通りです」
「そして産業はな」
 民間のそれはというと。
「軍隊以上に国家を支える」
「それがなくなりますので」
 それでというのだ。
「その国を徹底的に弱めることを考えますと」
「効果的だな」
「実際に戦略爆撃は民間産業を狙いました」
「民間人も含めてな」
「そして相手の国を徹底的に弱めました」
 アメリカ軍がドイツ、そして日本で行った爆撃だ。アメリカ軍は民間工場や港湾だけでなく居住区にも爆撃を行いこれ等の国々を徹底的によわめたのだ。
「当時のアメリカ軍の伝統と言うべきか」
「一般市民や産業への攻撃はな」
「はい、それは実際にです」
「敵国を弱めてだ」
「勝利をもたらしてきました」
 アメリカにだ、これはネイティブとの戦争からでありアメリカはネイティブの子供を産む女性や将来戦士となる子供から先に殺していった、そうしてネイティブの力を徹底的に弱めたのだ。
「細菌攻撃もありましたが」
「天然痘菌の付いた毛布だな」
「あれを渡したり」
「中国もやっていたな」
「モンゴル民族に対してですね」
「梅毒を広めていた」
 漢民族にとっての敵である彼等にだ。
「非戦闘員も含めてな」
「はい、中国軍も伝統的にです」
 当時の彼等はだ、当然この時代では違う。
「一般市民もです」
「攻撃するな」
「時には屠城もありました」
 城即ち都市一つを皆殺しにすることである、時折そうした虐殺そのものの作戦が行われることもあったのだ。 
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