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星河の覇皇

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第七十一部第五章 組み入れその二十二

「ですから」
「それは出来ないな」
「はい、そしてです」
「化学兵器もな」
「使用はです」
「出来るものではない」
 キロモトも言う。
「やはりな」
「国際法違反です」
 このことが前提としてあった、八条の中にも。
「そうした兵器の惑星での使用は」
「一般市民がいればな」
「通常軍でないなら問題はなくとも」
「一般市民を巻き込んでしまいかねない」
「それでは使えません」
 例え連合が凶悪犯やテロリストへの人権を考慮しない国でもだ。
「どうしても」
「そういうことだな」
「はい、ですから」
「催眠ガスか」
「こちらを多様しました」
 そうしたというのだ。
「今回は」
「それがいいな」
「はい、眠らせるとです」
「後は捕らえるだけだ」
「アジトを掌握したうえで」
「実に楽だ」
「一般市民を巻き込むことは許されません」
 これは決して、というのだ。
「連合においては」
「そのことは徹底しているな」
「中央軍もまた」
 各国軍もである、このことについては。
「そうです」
「そうだな、絶対にだ」
「軍隊は一般市民を攻撃してはならない」
「巻き込んでもな」
「このことは連合の絶対のことです」
 軍隊においてだ。
「創設当初から」
「自国民は特にな」
「かつては違いましたが」
 連合が創設されるまではだ、軍隊が凶悪な武装勢力との戦闘で一般市民を巻き込むことも時と場合によっては許される国もあったのだ。
「目的遂行を優先させ」
「その考えからな」
「自国民でもです」
 この場合は連合市民となる、不法出国者も法的にはそうなる。
「絶対にです」
「そうなっているな」
「市民を盾にする輩もいますが」
「その場合は臨機応変で考慮されるが」
 しかしというのだった。
「だが、な」
「自国民を巻き込むことはです」
「軍隊としてはな」
「最悪の事態の一つです」
「暴徒は鎮圧すべきだが」
 この場合は純粋な市民とはみなされない、暴徒は最早鎮めなければ他の善良な市民達にも危害が及ぶ存在なのだ。
「しかしな」
「はい、市民はです」
「巻き込んではならない」
「最悪の場合以外は」
「そうだな、しかも君は」
 キロモトは八条にこうも言った。
「エウロパ戦役では一般市民は徹底的にだな」
「攻撃目標から外していたと」
「そうした場所への攻撃はさせなかったな」
「どうしてもです」
「それは出来ないか」
「日本軍の伝統が残っているのでしょう」
 自分で言った、これは自衛隊であった頃だけでなく帝国陸海軍であった頃からのことである。 
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