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星河の覇皇

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第七十一部第五章 組み入れその十七

「そうした奇襲は外れた場合ダメージが大きいですね」
「奇襲は大抵そうですね
「スポーツの世界でもそうですが」
「政治の世界においてもそうで」
「外せばダメージは大きいです」
「普通の政策失敗よりもダメージが倍になります」
「そのことを考えますと」
 成功した場合の利益と外した場合のダメージの双方を考える、すると慎重な八条としてはどうしてもなのだ。
「奇策は難しいです」
「ギャンブルの様な、ですね」
「そうした政策は、ですね」
「出来ない」
「そうなのですね」
「私はギャンブルもしないです」
 八条はこちらの趣味はない、読書や音楽鑑賞、スポーツは好きだがそれでもギャンブルはしたことがないのだ。
「よく行う人がいますが」
「はい、連合でもですね」
「ギャンブルをする人はいますね」
「そして中には破滅する人もいて」
「問題になっていますね」
「成功すれば利益は大きいですが外れた場合のダメージは大きい」
 このことを考えると、というのだ。
「最悪のケースも考えますと」
「そうした政策は迂闊には出来ない」
「どうしてもそうせざるを得ない時以外は」
「どうしてもですね」
「使いますが」
「それでもですか」
「無闇には」
 周りの面々も言う。
「長官はそうしたタイプですか」
「ご自身ではそう思われますか」
「伊東首相は違いますが」
 日本の首相であり八条の政治の師でもある、連合各国政府の中でも屈指の曲者と言われる彼女はというと。
「ギャンブルの様なことも行われますね」
「はい、何かと」
「そうされてきますね」
「中央政府に対しても」
「一か八かの様なことを仕掛ける」
「それも多いですね」
「あの方は実は違いますが」
 一見するとギャンブルの様な政策もというのだ。
「そう見えてです」
「実は違っていて」
「的確に状況を読んでいて、ですね」
「そのうえで最もいい政策を行っている」
「そこをギャンブルに見せている」
「そうだというのですね」
「ギャンブルと見せればです」
 その行う政策をだ。
「人はギャンブルへの対策を講じます」
「それが常道でないのなら」
「当たった時のことと外れた時のこと」
「その双方を考える」
「そうなると」
「本来の政策を隠せます」
 ギャンブルと見せるそのことによってだ。
「そしてです」
「常道の政策を進め」
「そして、ですね」
「その政策を成功させる」
「それが伊東首相ですか」
「あの方ですか」
「今は中央政府は対立していません」
 伊東そして彼女が首相を務める日本政府とはだ。
「むしろ協力してくれていますが」
「しかしですね」
「そうした方なので」
「若しこれから衝突することがあれば」
「要注意ですね」
「私はオーソドックスに見えるオーソドックスな政策だけです」
 自分にあるのはとだ、八条は話した。 
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