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八条学園騒動記

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第五百二十六話 教師の資質その三

「そうした博物館にもです」
「入ってですか」
「学問をされていたとか」
「そうでしたか」
「そうしたことをしないと」
 それこそというのだ。
「何にもならないとのことで」
「士官として」
「高い教養がないと」
 このことはこの時代でも同じなのだ。
「敵地に入っても」
「お金を払ってまでして」
「むしろお金はです」
 士官の場合は給与だ、そこから得るそれはというのだ。
「教養を得る為にもです」
「使われるものですか」
「士官の人達にとっては」
「そうなのですか」
「二次大戦中の日本軍の軍人さん達は」
 ミンチンは彼等の話もした。
「和歌や漢詩も詠めたとか」
「詩までですか」
「はい、そこまでです」
「教養があったのですね」
「今の軍人さん達はそこまではですが」
 教養は高くないがというのだ。
「それでもです」
「高い教養が、ですね」
「求められるので」
 だからだというのだ。
「エウロパでもです」
「博物館に入って」
「無料でも寄付をして」
 それを入館料としてというのだ。
「学んでいたとか」
「そうだったのですか」
「そうです、軍人さんは戦争だけではなく」
「学問、教養もですね」
「求められるお仕事とのことですね」
「難しいですね。サラリーマンなら」
 普通の仕事ならとだ、マリアはここまで話を聞いて言った。
「そこまで求められないですが」
「お仕事をしていれば」
「はい、それでいいですが」
「軍人さんは違いまして」
「士官はですね」
「尚大学を卒業すれば」
 連合ではだ。
「大抵は入隊すればです」
「士官ですね」
「一年間教育を受けて」
 一般大学出身者用の士官候補生課程をだ。
「そうしてです」
「士官になりますね」
「二十代で少尉です」
「そして少尉になれば」
「すぐにです」
 まさにその移転でというのだ。
「教養を求められる様になります」
「士官として」
「左様です」
「厳しい世界ですね」
「学者の方程でなくとも」
 そこまで専門的でなくともとだ、ミンチンはエジプトのスカラベのモチーフを観つつマリアに話した。
「しかしです」
「高い教養は、ですね」
「早速求められて」
「軍人さんとしての資質に合わせて」
「ですから大変とのことです」
「学校の先生より大変ですね」
「似ていると言われますが」
 人を指導する仕事であるからだ、教師は生徒を士官は下士官や兵士達をだ。
「ですがよりです」
「大変な様ですね」
「教養のない先生もいます」
 いい鉄は釘にならないいい人は学校の先生にならないという言葉はこの時代の連合においても健在であるのだ。 
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