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八条学園騒動記

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第五百二十六話 教師の資質その二

「まことに」
「そうですね、そして学園の関係者なら」
「この学園の施設全てがそうですが」
「無料で入られると」
 気楽に入られるならだ、やはり無料で入られるとなるとどうしても気軽に入られるものになるものだ。
「余計にですね」
「特別な思いはなく」
「入ってですね」
「楽しんでいましたが」
 それがだった、今のマリアは。
「違いますね」
「そうですね、そういえば」
 ここでミンチンはこうも言った。
「イギリスの博物館ですが」
「エウロパのあの国ですか」
「あの国は博物館や美術館は基本無料で」
「無料ですか」
「寄付で経営しているとか」
「そうなのですか」
「今も」
 このことは二十世紀からだ。
「それを自慢にしているそうです」
「基本無料であることを」
「その様です」
「そうした国もあるのですね」
「この学園での無料は学園関係者の特典で」
 ミンチンは博物館の中の展示品を見つつ話した、今二人は古代エジプトのコーナーにいる。ファラオのマスクやパピルス等がある。
「八条グループの関係者も」
「安く入館出来ますね」
「そうですが」
「イギリスではですか」
「どの博物館も」
「基本無料で」
「そして寄付が」
 これがというのだ。
「実質的に入館料だとか」
「そうですか」
「それで連合軍の人達が入館して」
「全員ですね」
「寄付をする様命令があり」
 これは八条が行った、連合軍の礼儀正しさというかマナーをエウロパに喧伝し無料で入ってそれが略奪の様に思われるのを警戒してのことだ。
「そうしていたとか」
「必ずですか」
「十テラ程の寄付をして」
「それがですか」
「入館料で」
 それでとだ、ミンチンはピラミッドの説明文と小さな模型を見つつ話した。
「利用していたとか」
「そうでしたか」
「大英博物館も」
 この時代もイギリスの誇りであるこの博物館もというのだ。
「やはりです」
「十テラを支払って」
「それで、です」
 そのうえでというのだ。
「入館していました」
「そして展示品を見ていたのですね」
「そうしていたとか」
「そうですか」
「戦争の合間に」
「学問にもですね」
「励んでいたとのことです、軍人さん達も」
 彼等もとだ、ミンチンはマリアにさらに話した。
「学問は必要とのことですね」
「何でも士官の人達は」
 マリアは軍隊の指揮官である彼等の話をした、少尉以上がそうなることは連合中央政府軍も各国軍も他の国の軍隊も同じだ。
「高い教養も求められるのですね」
「そうです、それがなくては」
「士官としてですか」
「失格とのことで」
「それで、ですか」
「士官の人達は特に」
 エウロパ戦役においてだ。 
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