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八条学園騒動記

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第五百二十五話 博物館へその十四

 ミンチンはあらためてだ、マリアに話した。
「それでは今日の放課後は」
「はい、博物館にですね」
「そちらに行きましょう」
「では」
「息子も好きで」
 ミンチンは笑ってだ、マリアにこうも話した。
「よく行きます」
「そうなのですか」
「はい、ただ」
「ただ?」
「息子が一番好きなのは水族館で」
 こちらだというのだ。
「どの子も」
「水族館ですか」
「はい、そちらの方によく行きます」
 そうだというのだ。
「これが。それで前はラッコを見て」
「ラッコですか」
「はい、それを見てきて」
「楽しんできたのですね」
「そう言っていました」
「ラッコですか」
「二番目の子ですが」
 この息子がというのだ。
「好きでして」
「それで水族館で」
「今日も可愛かったと言っていました。ただ」
「ただ?」
「ラッコの食べる量には驚いていました」
「そういえばラッコは」
「はい、可愛いですが」
 その外見はとだ、ミンチンはさらに話した。
「食べる量はです」
「かなり多かったですね」
「寒い海の上にいるので」
「いつも浮かんでいますね」
「そうしているので」
「だからですね」
「食べる量は」
 それはというのだ。
「かなり多いです」
「そうでしたね」
「そのことについては意外だと言っていました」
「そうですね、私もです」
 マリアもだった、ラッコについては。
「最初その量を聞いて驚きました」
「そうですよね」
「全く」
 二人でこうした話をしてだった、そのうえで。
 二人でこの日の放課後は博物館に行くことにした、マリアはそれはただ博物館に行くだけのことではなかった。運命の時が来ようとしていた。


博物館へ   完


                2019・5・25 
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