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星河の覇皇

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第七十一部第四章 引き継ぎその四十一

「どうしてもな」
「それが為にですね」
「オグモ大将は、ですか」
「元帥にはなれない」
「そうなのですね」
「元帥は三十人までだ」
 義勇軍司令官である者を入れると三十一人になる。
「その三十人になれるのはだ」
「あくまで大国出身ですね」
「アメリカや中国等の」
「しかも一国に一人ですね」
「それだけとなっていますね」
 所謂不文律でそうなっている、どの国にもこうしたものは存在しているが連合にも存在しているのだ。この時代遂に千年連続最下位を達成した日本のプロ野球チーム巨人もまた不文律がある。それは生え抜きのスター選手しか監督になれないというものだ。千年連続最下位でも無意味なプライドだけは捨てていないのだ。
「今のところ」
「そうなっていますね」
「実際のところ」
「一国に一人」
「大国から」
「その不文律はだ」
 サチフは幕僚達に言った。
「よくはないな」
「そうですね、人材が限られます」
「どうしてもそうなります」
「ですからこうしたことはです」
「あらためるべきですね」
「是非だ」
 まさにというのだ。
「あらためるべきだ」
「その通りですね」
「それに相応しい者がなるべきですね」
「元帥にしましても」
「そうあるべきですね」
「元帥はだ」
 まさにというのだ。
「軍の制服組のトップ達だ」
「そう言っていいですね」
「まさに制服組の頂点です」
「軍を指揮する将官のさらに上に立つ」
「そうした存在ですね」
「連合軍は士官学校か大学を出れば将官までにはなれる」
 軍の規模が大きくそれだけ将官の数も多いからだ、とはいっても少将や准将で止まる者も多いのが現実だ。
「だが大将になるとな」
「やはり少なくなりますね」
「そこから上になりますと」
「どうしても」
「中将からそうですか」
「そうだ、しかしだ」
 そのうえでというのだ。
「元帥になるとだ」
「大将よりもさらにですね」
「減りますね」
「僅か三十人だけです」
「そこまで減りますね」
「エウロパ軍よりも少ない程だ」
 十億の規模のこの軍よりもだ。
「だからなりにくいのは当然だが」
「しかしですね」
「そのポストに相応しい者が就けないことは」
「大国の者しか就けない状況は」
「よくはありませんね」
「やはり実力主義でないとだ」
 人材の登用はというのだ、軍隊も当然ながら。
「どうしようもない」
「その通りですね」
「ああした方こそですね」
「元帥になるべきですね」
「どうしても」
「そう思う、しかし連合軍は本当に元帥の数が少ないな」
 サチフはあらためてこのことを思った。 
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