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八条学園騒動記

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第五百二十五話 博物館へその九

「まだです」
「大丈夫ですね」
「そう思いますので」
「普通にですね」
「ウォッカは飲みません」
 普通の時はというのだ。
「そうしています」
「左様ですね、私もウォッカは」
「普段はですね」
「飲まないです」
 マリアもだった。
「夜ですら」
「そうなのですか」
「強いので」
 アルコール度四十である、さらに強くしたスピリチュアルは九十七パーセントもある。
「ウイスキーがギリギリで」
「アルコール度三十五パーセントですね」
「それ位ならまだ飲めますが」
「ウォッカになると」
「アルコール度三十五パーセントが何とかで」
 それがマリアが飲める酒のギリギリだというのだ。
「それ以上は」
「だから四十パーセントのウォッカはですか」
「飲んでも殆ど飲めません」
「身体が受け付けないのですか」
「どうも」
 そうした体質でもあるというのだ。
「ですから普段はワインをよく飲みます」
「そうですか」
「はい、そういえば」
 ここでだ、マリアはこうも言った。
「ナチスといえばヒトラーですが」
「ナチス=ドイツの総統ですね」 
 ミンチンもヒトラーと聞いてすぐに応えた。
「悪名高き」
「はい、あの人はお酒は飲まなかったのでしたね」
「その様ですね」
 この話はミンチンも知っていた、ヒトラーがどういった人物であったかは連合でも有名なことなのだ。
「お酒は飲まず煙草もです」
「吸いませんでしたね」
「菜食主義者で」
 食事にラードも使わせなかったという。
「女性にも清潔で金銭欲もない」
「私生活は禁欲的だったとか」
「趣味は読書と音楽鑑賞で」
 とかくどういった難しい本も読破し音楽はワーグナーをこよなく愛していた。
「私人としてはでしたね」
「極めて真面目だったと」
「そう言われていますね」
「ですがあの様にです」
「極悪人でしたね」
「人類史上最悪レベルの」
「そう言われていますね」
 実はサハラの戦乱の歴史の中では何十億もの人間を殺した独裁者もいる、戦乱の中で一般市民も躊躇なく攻撃させた結果だ。
 だが二人はそのことを今は忘れて話をしているのだ。それでミンチンはマリアに対してさらに言った。
「ヒトラーの様な悪人は稀ですが」
「その私生活は、ですね」
「真面目であって」
「芸術も愛していたそうですね」
「あのルーブル美術館にも」
 この時代ではフランスの首都星系であるパリ星系にある、ただしエウロパ戦役で連合各国に由縁と思われる芸術品は全て連合の学者や学芸員達が検証の結果軍隊の協力を得て全て持ち去っている。これは大英博物館等エウロパ全土の博物館や美術館で為されたことだ。
「行っています」
「そうしてでしたね」
「はい、感激していたとか」
 フランスとの戦争に勝った直後のことだ。 
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