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八条学園騒動記

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第五百二十五話 博物館へその八

「似合っていないので」
「だからですか」
「はい、そちらのコートもです」
「着られないですか」
「ですが寒さには弱いので」
 寒がりだけでなく冷え性であるのだ、実はミンチンは自分のこの冷え性について子供の頃から悩んでもいる。
「それでコート自体はです」
「そういえば先生冬は」
「いつもコートですね」
「その下にセーターを着られていますね」
「そして」 
 ミンチンは微笑みさらに話した。
「ミトンとマフラーも」
「欠かせないですね」
「足も温めています」
 こちらのことも忘れないというのだ。
「身体は足から冷えますので」
「そうですよね、足が温かいと」
 マリアもわかることだった、冬を知っているが故に。
「それだけで違いますね」
「そうですね、ですから」
「コートやセーターだけでなくですか」
「足もいつも防寒ストッキングを穿いて」
 あえてそうしてというのだ。
「靴下もです」
「そちらもですね」
「毛糸のものにしています」
「冬は、ですね」
「そうしてです」
「冬を過ごされていますか」
「そうしています、完璧にして」
 そのうえでというのだ。
「冬に備えています」
「そこまでされていますね」
「ロシア人程ではないですが」
 ミンチンは笑ってこうも言った。
「私も寒さにはです」
「気をつけられていますね」
「はい、ただ冬でもウォッカは飲まないので」
 ロシアではこれも加わるのだ、ロシア人はこの時代でもこの酒を飲んでそのうえで寒さに向かっているのだ。
「そこは違います」
「ロシア人とはですね」
「はい、私は飲む時は夜です」
「いつもではないですね」
「ロシアではいつも飲まないと無理な様ですね」
 ロシアの極寒に向かうにはだ。
「あの国の多くの星では」
「ロシアは特別ですからね」
 マリアもこう言った。
「領有している星系、惑星の数は連合で最も多いですが」
「二位のカナダを倍は引き離して」
「そこまでの星系と星を領有していても」
 それでもなのだ。
「極寒の星ばかりで」
「寒さが厳しく」
「冬はウォッカがです」
「どうしても手放せないとか」
「そうしたお国柄ですね」
 ロシアはというのだ、マリアも。
「あの国は」
「はい、ですが私は」
「お酒は夜ですね」
「飲まないと無理と感じたこともないので」
「この八条学園のある神戸でもですね」
 これがこの星の名前だ、播磨星系にある。
「そうですね」
「はい、マイナス三十度はおろか」
 ロシアでは冬にこの気温に達する星が標準と言われている。
「マイナス十度もです」
「達しないですね」
「それではです」
 マイナス五度で記録的と言われる星の中の地域である。 
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