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八条学園騒動記

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第五百二十五話 博物館へその七

「言われていて」
「それで、ですね」
「人気がないです。そして十八世紀の軍服も」
 欧州各国のそれもというのだ。
「ナポレオンの頃もですが」
「人気がないですね」
「はい、貴族的だと」
「あのみらびやかさは本当にそうですね」
「ベルサイユの薔薇にしても」
「あの華やかな軍服の裏で」
 まさにとだ、マリアは話した。
「民衆、平民は苦しんでいましたね」
「あの作品でも描かれていましたね」
「そうしたことが」
「そう思いますと軍服は」
「連合の様にですね」
「質素でいて恰好いい」
 ミンチンはマリアにはっきりとした声で述べた。
「それが理想ですね」
「そうですね、ただ」
「ただ。何でしょか」
「教務主任は軍事に興味がおありではないですが」
「軍服は今の服にも影響を与えているので」
「だからですね」
「興味があって」
 そしてというのだ。
「知識もです」
「おありですか」
「そのつもりです」
 実際にというのだ。
「主人が好きなトレンチコートやフロックコートもそうですし学校の制服も」
「制服は元は軍服でしたね」
 このことはマリアも知っていた。
「詰襟もブレザーもセーラーも」
「そう、どれもです」
「元は軍服でしたね」
「ブレザーにしても」
 この服もというのだ。
「元は軍服です」
「ラントセルもですね」
「あの背負うものも」
 小学生のトレードマークと言っていいこちらもというのだ。
「軍隊で使われていて」
「それが使われていますね」
「はい、ですから軍服については」
「知識と興味がですか」
「あります」
 実際にと言うのだった。
「ただ。私個人はコートも」
「トレンチコートはですか」
「着ていません。学生時代はブレザーが好きでしたが」
 それでもというのだ。
「今はです」
「そうした服は着ておられないですか」
「はい、女性用のトレンチコートもありますが」
「それでもですか」
「私は好きではないので」
 ミンチンは何故好きでないかも話した。
「私には似合わないとです」
「言われたことがありますが」
「教師になってすぐにそのコートを着て登校しましたが」
 女性用のトレンチコート、それをというのだ。
「生徒に似合ってないと言われて」
「それで、ですか」
「実際鏡でもチェックして」
 自分自身でもそうしてというのだ。
「どうもと思いまして」
「それで、ですか」
「はい、以後です」
 それからはというのだ。
「着ない様にしています」
「そうしたことがあったのですね」
「フロックコートも」
 こちらのコートもというのだ。
「私には似合っていないので」
「そちらもですか」
「一度お店で試着して」
 フロックコートはそうだったというのだ。 
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