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おぢばにおかえり

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第五十三話 おさづけの理その二十四

「全く、よく詰所の人達もいいって言ってるわね」
「お風呂も使わせてもらってますし」
「学校帰りの回廊ひのきしんの後とかでよね」
「入ってます」
「馴染んでるわね、それじゃあ」
「はい、先輩が入学されてからも」
 それからもというのです。
「宜しくお願いしますね」
「やれやれね」
「やれやれですか」
「そうよ、けれどね」
「けれど?」
「この寮もね」
 私は前を見て思いました、まだ寮は見えないですがもその近くまで来ています。すっかり馴染んでいる道です。
「もうすぐね」
「出ることになりますね」
「ええ。それも古いし」
 建物自体がです。
「そろそろ別の寮になるみたいよ」
「女の子の寮はですか」
「そうなるみたいよ」
「そうですか。じゃあ先輩が卒業されて暫くして」
「もう建て替えるかしらね」
「そうなんですね」
「三年間住ませてもらってたけれど」
 三年間、長い様で短かったです。
「もうすぐね」
「寮も出るんですね」
「卒寮よ」
 寮の場合はこう言います。
「寮でも色々あったわね」
「そんなにですか」
「最初入った時不安で仕方なかったけれど」
 もうこれからどうなるか、全くわからなくてです。あの時のことは今でも覚えています。
「それで長池先輩にお会いして」
「あの人ですね」
「そう、最初同じお部屋の人だとは思わなかったの」
「先輩に優しく声をかけてくれたんですね」
「それでかなり気が楽になったの」
 怖くて不安で仕方なかった気持ちを解きほぐしてくれました、本当にあの時先輩が声をかけてくれてどれだけ助かったか。 
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