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おぢばにおかえり

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第五十三話 おさづけの理その二十三

 そしてです、また歩きはじめて阿波野君にあらためて言いました。
「別に」
「そうですか?」
「毎日阿波野君と会うなら」
 それならです。
「これまでと変わらないじゃない」
「そうなりますね」
「というか毎日来るつもりなの?」
「はい、用事を見付けて」
「用もないのに、よね」
 実際はとです、阿波野君に言い返しました。そうしたお話をしながら神殿の前から東寮の方に向かいます。
「そうよね」
「いえ、見付けてですから」
「適当な理由を、でしょ。全く」
 何か眉を自然に顰めてしまいました。
「阿波野君はどうしてそうなのよ」
「どうしてっていいますと」
「そこまでいい加減というか」
 何と言っていいかわかりませんでした。
「そうした子なのよ」
「まあそれが僕ってことで」
「納得しろとか言うの?」
「納得っていいますか僕の癖性分なんですよ」
「悪い癖性分はなおさないと」
 いけないとです、私は阿波野君に注意しました。寮までのいつもの道は夜は普段と違って不気味な感じです。
「駄目でしょ」
「そうですか」
「そうよ、それでね」
「それで?」
「理由もなく詰所に来ないの」
 また阿波野君にこのことを言いました。
「いいわね」
「まあこれまでも毎日来てますので」
「そういえばそうね」
「それを続けるってことで」
「何よ、それ」
 私は阿波野君にむっとした顔で注意しました。 
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